

新卒が内定取り消しになる原因とは? 知っておくべき対処法を解説
毎日のように就活準備や書類・面接選考の対策に取り組み、ようやく企業から内定を提示されたとしても、内定が取り消しになり、新卒入社の機会が失われる可能性が就活には潜んでいます。 内定承諾書を郵送して、来たる新卒デビューに心躍らせていたときに内定を出した企業から「内定の件は無かったことに……」と、一方的に入社の約束を白紙に戻される。選考の緊張を耐え抜いてようやく内定を得た新卒就活生にとってはショックですよね。 ただ、内定取り消しになる原因はいくつかあるため、本稿を通して新卒就活生のみなさんに「なぜ内定取り消しになるのか?」をお伝えしていきます。
新卒が内定取り消しになる原因
まずはじめに、「内定取り消しって違法じゃないの? 今までの努力を踏みにじる行為では?」と考える新卒就活生もいるかもしれませんが、内定取り消しはそのときの状況や当事者の状態によって妥当性が変化するデリケートな事柄です。
面接選考を終えて、企業が新卒就活生に採用通知とともに内定承諾書を送ったにもかかわらず、「あの子の印象暗めだったし、やっぱり無しで」という抽象的で非合理的な理由で内定取り消しになるのは問題ですが、新卒採用を決定する企業側で“内定取り消しにせざるを得ない事情”が生まれた場合は妥当だと認められる場合があります。
また、選考中には気がつかなかったけれど、内定承諾後に新卒就活生本人に問題があったことが発覚した場合は、企業の経済活動や信用問題に影響する可能性があるため、内定取り消しという結論に至る場合もあるのです。
では、実際にどういう事象が影響して内定取り消しに発展してしまうのでしょう?
「就活中・選考中に企業に虚偽の報告をしていた」
「内定承諾後に事件や事故を起こした」
「内定承諾書の提出が期間内に行われなかった」
「SNS上で問題行動を起こした」
「単位が不足して学校を卒業できなかった」
「病気やケガで業務を遂行できる状態ではなくなった」
という6つのポイントに分けて、新卒が内定取り消しに遭遇してしまう原因を解説します。
就活中・選考中に企業に虚偽の報告をしていた
面接の最中に企業からの印象を良くしたいと思い、つい出来心で学生時代のエピソードや長所を“多少盛って”しまったという新卒就活生の方もいるでしょう。ですが、語った内容が内定を決定づける評価基準に値するものであれば、虚偽の申告として内定取り消しにつながる場合があります。
たとえば、志望先の企業で新卒でも英語力が必要になるとして、内定をもらうためにTOEICの点数を偽ったり、業務に必要となる資格を持っていないにもかかわらず保有していると語ったら、選考後で内定取り消しになるかもしれません。こういった事象は単純に能力が求める水準を満たしていないからであると同時に、企業の一員として新卒に仕事を任せることへの不信へ結びつくので、とりかえしのつかないような嘘は自重しましょう。
内定承諾後に事件や事故を起こした
苦労してようやく内定を獲得したとなれば誰でも気が緩みやすくなるものです。しかし、就活を終えたことへの開放感から、迷惑行為や法律に違反するような言動をしてしまう新卒就活生も少なくありません。「就活中に控えていた飲酒を満喫した」までは成人済みならOKですが、酒に酔った挙句、周囲の人に危害を加えたり器物損壊をしてしまえば、新卒採用を行った企業は内定取り消しをする可能性があります。というよりも、内定承諾後というのは要するに新卒は会社組織に属する立場になったことを意味し、事件や事故の加害者になれば個人の問題ではなく新卒採用をした企業にも責任が及ぶ場合があるのです。内定取り消しという悲しい結果を生まないために、社会人としてのマナーや責任感について今一度考えてみましょう。
内定承諾書の提出が期間内に行われなかった
内定を獲得した後、新卒就活生は企業に承諾書や保証書といった各種書類の記載と提出が求められます。しかし、記載内容に不備があったり提出までの期間を過ぎてしまうと内定が取り消しになることも無きにしも非ずです。新卒就活生の事情によって提出に遅れが出るなら、企業の人事担当者に相談することで期間を延ばしてもらえる場合もありますし、未記入項目や誤りがあれば訂正版として再度出すことで、内定取り消しになる事態は避けられるでしょう。とはいえ、いかなるケースでも企業に迷惑をかけた事実に変わりはないため、きちんと謝罪した後に提出してくださいね。
SNS上で問題行動を起こした
先ほどの事件や事故を引き起こしたケースと被ってしまうのですが、気軽に自分の意見や感想を主張できるSNSにて、企業や関わりのある特定人物、就活そのものへの不満や文句を投稿することで内定取り消しにつながるかもしれません。近年では各企業でIT化が進み、ネットリテラシーにも神経質になっていますから、内定を与えた新卒が社会や第三者への差別的発言、攻撃的発言を行ったとなれば企業の信用問題にも発展します。特に、企業の不利益につながるような情報を漏洩させたり、デタラメな情報をSNSを通じて流布させたら、内定取り消しだけでなく巨額の賠償請求を問われる可能性もあるでしょう。SNS上の言動で内定取り消しにならないためは、常にネットでの発言に注意し、必要があるならフォロワー同士でしか確認できないようにアカウントに鍵をかけるなど対策するべきです。
単位が不足して学校を卒業できなかった
新卒就活生に与える内定は、「学校を卒業していること・卒業の条件を満たしている」が大前提になります。しかし、卒業に必要な単位に至らず留年・退学してしまうとなれば、入社条件を満たしていないことを意味するため、当然内定は取り消しになるでしょう。ネットの書き込みなどでも、必修単位に抜け漏れがあって内定承諾後に卒業できず内定取り消しに遭ったという新卒就活生も稀に見かけますし、新卒就活生は内定や卒業論文だけに意識を向けるのではなく、在学中にできるだけ多く単位を取っておくことを心がけてください。
病気やケガで業務を遂行できる状態ではなくなった
内定承諾してから不慮の事故で身体に後遺症を負ってしまったり、ケガでしばらく入院することは状況的に見れば新卒就活生に落ち度はありません。しかし、完治まで時間がかかって入社日に間に合わなかったり、身体が思うように動かせなくなって新卒の業務に支障をきたすレベルであれば、企業も内定を取り消しにかかるでしょう。もちろん、企業も将来性を見込んで新卒就活生に内定を与えたわけですから、取り消しも断腸の思いで行っています。不幸な出来事で仕事ができなくなるのを避けるには、普段から交通ルールを遵守して気をつけて過ごすしかないでしょう。また、重篤な病気を患ってしまった場合でも同様です。どちらにしても、必ず人事担当者に状態を伝えることを忘れないようにしてくださいね。
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企業の都合で内定取り消しになることも
先ほどの見出しで伝えた内定取り消しになる原因は、あくまで新卒就活生側に起因するものばかりです。しかし、新卒就活生がどうしようもないパターンでやむを得ず内定取り消しになることもあります。それは、「採用してくれた企業が経営不振に陥って、新たな人材を迎え入れる余裕がなくなったとき」です。新卒就活生のみなさんも就活中に数多くの企業を目の当たりにしてきたと思いますが、彼らは新卒採用活動を行うために、広報や資料作成に人員配置、イベント準備で多額のコストを割いています。そして、無事に採用計画通りに人材を確保したとしても、社会経験のない新卒のために、研修や合宿など、入社して仕事を任せるために費用や手間を割いて成長に力を注ぐわけです。ですが、事業の失敗や経済状況の悪化によって会社経営が難しくなった場合は、言葉が悪いですが倒産を避けるべく戦力にならない部分を排して状況を立て直すしかありません。そうなれば、新卒社員の育成や長期的な労働も厳しくなることが予測されるので、致し方なく内定取り消しに発展してしまうのです。事業の失敗あるいは天災など、企業の存続がかかっている場合、人員削減で内定がなくなる可能性も覚えておいてください。
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内定取り消しになったらまずは相談!
長い時間をかけてようやく手にした内定が取り消しになってしまえば、どんな新卒就活生でもパニックになるはずです。内定取り消しを行った企業が志望度の低い場所だったり、まだ卒業まで時間が十分にある状況であれば継続して就活を行う余力を保てるかもしれません。ですが、卒業が間近に迫った時期に内定取り消しに遭ってしまえば話は別です。新卒就活生も時間的余裕だけでなく、採用活動を行う他社の研究をして選考を受けるモチベーションが無くなることでしょう。もし、就活を真面目に頑張ってきて内定が取り消しになってしまったら、自分だけで解決しようとは考えず、迷うことなく学校の就職課や支援してくれた就活エージェントに相談するようにしましょう。就職課の職員や新卒就活生のサポートを行う就活エージェントは、身近にいる頼りやすい社会人であると同時に就活のプロなので、自分の代わりに内定取り消しをした企業と連携を取ってくれるはずです。また、各市町村にあるハローワークも相談に乗ってくれるだけでなく、就活再開の支援をしてくれるので、万が一の場合はチェックしておきましょう。さらに、あまりにも常識と逸脱しているような事柄で内定取り消しに遭った場合は、労働問題に精通した弁護士に相談してみるのもおすすめします。自分にまったく非がないにもかかわらず内定取り消しになっては、今後の長い人生に大きな暗い影を落としかねません。自暴自棄になったり自分だけで抱え込もうとはせず、周囲の大人に相談しておいてくださいね。
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まとめ
手間がかかる就活の準備を日々懸命に行い、緊張感のある本選考で自分の意欲や熱意を真剣にアピールして勝ち取った内定。それなのに突如、企業から内定取り消しという形で幕を閉じられ、頑張って掴み取った成果が無に帰してしまうのは新卒なら誰だって避けたいことでしょう。今回の解説にある、企業自体の経営が厳しくなって取り消されるのは対応が難しいですが、それ以前の自分自身の言動が影響して内定が取り消しになることについては、就活中に回避の仕様がいくらでもあります。志望先の企業に迷惑をかけないためにも、無事に新卒入社を果たすためにも、今のうちから内定取り消しにつながるものが無くなるように身の振り方を改めておいてくださいね。