

入社の決め手となる内定承諾書の意味とは
ですが、こんな重要書類であるにもかかわらず、記入ミスが多発したり印鑑マナーをよく理解していないという学生も多くいます。
今回は、そんな間違いがなくなるように、内定承諾書にまつわるルールについてご紹介していきましょう。
就活の努力の結晶である内定承諾書の重要性
内定承諾書は、企業が就活生に提示する採用条件に情報の齟齬(そご)がないかを確認、最終的に入社を承諾させる誓約書です。企業としては多大な時間と採用コストを消費して選んだ就活生を、他の企業に向かわないよう自社へと囲い、就活生側に働くことへの意欲を高めてもらう狙いがあります。
ただの書類と思われるかもしれませんが、企業は新卒採用にあたって広報やセミナーの開催、資料作成に人件費などで膨大な経費を使っています。そのうえ、ある程度の人材を確保しなければ企業の売り上げにも直結しますので、送られてきた書類がいかに重みのあるものか理解しましょう。
もし、他の内定先に魅力を感じて他社の承諾書に記入する場合は内定辞退という形になりますので、しっかりその意思を謝罪の気持ちを込めて先方に伝えましょう。
内定辞退は就活生につき物なので仕方ありません。しかし、選考でお世話になった企業に何の連絡もせず他所へ移ってしまうのは失礼であり、企業も就活生の返事待ちで採用活動を止めている状態なので絶対に避けてください。
辞退するなら関係者に必ず連絡を
内定承諾書には就活生への法的な拘束力はありません。
最初に書いた通り、こちらは記入事項を確認させて入社意欲を再確認する書類ですので、たとえサインを終えて郵送した後でも辞退は可能です。ですが、その場合は企業も今後の採用計画を見直さなければならないので、迷惑をかけてしまう可能性があります。
万が一、こちらの考えが変わって辞退を検討するのならば、提出した日あるいは2~3日以内に電話にて採用担当者に辞退と謝罪の気持ちを伝えるようにしましょう。それに合わせてお詫び状も作成して提出するとより丁寧な印象となります。
何の拘束力がないと言っても、こちらの都合で企業を振り回してしまうわけですからマナーは欠かさないようにしましょう。
また、大学の教授から企業へ推薦されて応募した経緯がある場合、特に辞退には注意が必要です。自分と企業とのやり取りだけではなく、学校・教授を介した就活だったら、内定辞退をすると企業と学校・教授の信頼関係に影響を及ぼし、今後の推薦枠が削られる可能性もあります。どうしても内定辞退を考える場合は、まずは学校と教授への相談をしてからにしましょう。
就活シーンに限らず、今でも契約などで欠かせない判子。種類としては印鑑(実印)とシャチハタ(代用品)が挙げられます。宅配の受け取りなどでシャチハタを押すのは一般的ですが、今回の内定承諾書など重要書類には使えません。というのも、シャチハタはあくまで実印の代用品という位置づけなので、登録した印鑑でないと何の効力もないのです。
印鑑を押すという行為はときに責任を負うということに繋がるので、必ず市役所などで印鑑登録をした判子を使いましょう。また、印鑑には記入ミスを訂正する使い方もあります。文字・数字問わず、記載に誤りがあったらその箇所を横二重線で消して、上乗せする形で印鑑を押して完了です。このときに引く線にブレがあったら雑さが目立つので定規などで正確に線を引きましょう。ただ、朱肉が印鑑の面に十分触れていないと、捺印のときに印が一回で満足に押せない場合があります。こういった印章は削れていたり色が薄かったりすると、効力がなくなり再作成しなければならないので、何度も朱肉にポンポンと押してしっかり全部の面が書類に接するように。
書類を郵送するときも相手に丁寧な連絡を
就活生が内定承諾書を提出する場合、必ず企業へ内定承諾書の承認・郵送の旨と、「今後もよろしくお願いいたします」という丁寧な挨拶を電話で報告しましょう。企業も送った書類に納得してもらえるか、いつ頃に届くのかと考えていますので、連絡を入れて安心させるのも社会人としての鉄則です。
また、電話する時間帯も考慮するべきで、朝の慌ただしさが落ち着いてくる10時頃、昼休憩が終わって業務も一区切りついてくる14時から17時に電話を入れるのが丁寧。流れとしては、選考でお世話になったことへのお礼から始まり、内定承諾の報告と今後の意気込みを伝え、提出するべき必要書類の有無を確認する感じですね。話し方も緊張せずゆっくりと落ち着いて話せば、相手に誠実さが改めて伝わり「採用して正解だった」と思わせられるでしょう。
では、もしも内定承諾書を汚してしまった場合、どうすればいいのかもお話しします。
万が一、書いている途中で印鑑やペンの染みが書類に染みついて見栄えが悪くなってしまったら、こちらも採用担当者に電話で報告しましょう。誤って汚してしまったのはどうすることもできませんが、何も伝えず汚れたまま送るのは失礼なので気をつけましょう。
封筒はどうやって作ればいいのか?
内定承諾書の郵送で使用する封筒は承諾書のサイズで変わります。
内定承諾書が折り目なしのA4サイズの場合、封筒はA4向けの角形2型であればそのまま入れられます。逆に書類が三つ折りだったりすると、封筒も長方形の長形3号がベスト。フォーマルなシーンで使う封筒の色は白色が一般的です。
というのも、茶封筒などは一般郵便・簡易書類の郵送が主なので、重要書類は白い封筒で送るのがマナーとなります。封筒に書く内容ですが、封筒の表面は「郵便番号」「住所」「会社名」「宛名」「書類内容」を書き、裏面では「郵便番号」「住所」「氏名」「〆(締め)印」を書きます。書き方は縦書き・横書きに分かれていますが、特にどちらにすべきかという決まりはありません。
しかし、アルファベット表記の社名の場合は横書きのほうが自然です。言うまでもありませんが、文字も雑にではなくしっかり丁寧に書きましょう。使用するペンも細すぎるのは読みづらさに繋がるので、細すぎず太すぎずな筆先のペンを用意するように。筆ペンを使うのも控えてくださいね。
相手の番号と名前も正確に書こう
また、郵便番号番号の書き方は縦書きですと漢数字なら表記統一の面で自然に思えますが、算用数字でも問題はありません。そして、住所も都道府県・市町村名などで決して省略した書き方をしないように。会社名も「株式会社」「有限会社」が先か後かに分かれる企業もあるので、記入する前に再度、内定先の企業の名前を確認しましょう。
「宛名」は「会社名+御中」と表記。読み手となる採用担当者の名前が分かるなら「部署名+人名+様」、逆に採用担当者が分からない場合は、個人名ではなく「部署名+採用担当者+様」となります。詳細をしっかり書くことで郵送後に社内でスムーズに採用担当者の手元に届きます。
ですが、届けてくれる郵便局が重要な書類か分からない場合、郵送が後回しになったりするケースもあり得るので、封筒の下側に「内定承諾書在中」と記して赤枠で文字を囲むようにしましょう。裏面については、郵便番号や氏名など基本的に表面と変わりませんが、書く位置は封筒の左下に記載。こちらも住所などは省略せず漏れのないようにしましょう。記入が終わったら封筒の口部分はテープなどを使わずノリを使用します。最後に「〆」のマークを書き入れて記入は完了です。
まとめ
今回の解説でも分かるように、内定承諾書は就活生と企業の関係を改めて結びつける重要な代物です。丁寧に書いて郵送後に企業へ電話連絡もしっかり行えば、企業側からの信頼を確かなものにできますし、自身も「もう学生じゃなく一人前の大人として振る舞わなければ」と意識を高める結果に繋がります。内定通知が来て安心するのは分かりますが、きちんと承諾書もミスのない記入を心がけて、「採用してよかった」と一緒に働くことになる企業を安心させましょう。