

安心するのは早い? 内定取り消しになる原因を徹底解説
内定後に起きた事象の紹介
せっかく苦労して手に入った内定を取り消されるのは言葉に出来ないほど悔しい。しかし細かな労働条件の確認とお互いの合意があって成り立つ内定(雇用契約)を取り消すというのは、普通じゃ考えられません。 ではどういった経緯があって内定取り消しに発展するのでしょうか?
ここから先は“就活生側”に含まれる原因を挙げていきます。
SNS上で不適切な投稿をした
現在では老若男女問わずTwitterやFacebookなどのSNSを利用していますが、これらツールは使い方を間違えると些細なトラブルから人生を棒に振るような事態を引き起こす事も。 たとえば未成年にもかかわらず飲酒喫煙をしている姿を公開したり、飲食店のアルバイトが食材を粗末に扱ったり、あるいは客が設備周りを荒したりなどの問題行動が思い浮かびますね。他にも特定の人種や人物に組織などを名指しで誹謗中傷したり、文字や画像を使って他者を肉体的・精神的に追い詰める事も。
こういった投稿を嬉々として行い、それが契約を結んだ企業の人事担当者の目に留まって内定が取り消されるケースがここ数年、非常に多いのです。 内定を与える企業は、選考を通じて学生の人格と能力を信頼していたわけですが、こういった問題行動は企業にとって不祥事のタネになるだけでなく、信頼を裏切った行為と捉えられるでしょう。 事と次第によっては内定取り消しで済めばラッキー、下手をすると多額の損害賠償を請求されかねません。それは企業の社会的信頼を失墜させた旨を含む賠償となるので、個人が長い人生を費やしても支払えないくらいの金額を求められるでしょう。 実際、某飲食店で問題を起こしたアルバイトが解雇されただけでなく、膨大な金額を求められた事象も記憶に新しいです。
書類や面接で虚偽記載・申告
就活では企業に嘘偽りの無い申告をするべきですが、自身の経歴や実績を嘘で固めるのはアウトです。たとえばTOEICのスコアを大幅に偽ってアピールしたり、資格が無いにもかかわらず保持していると語ったりするパターンですね。こういった自分を良く見せようと実績と能力に関する虚偽報告をしてしまうと内定取り消しの一途を辿る事になるでしょう。 「経験者を募ったのに全くの素人が来た」ようなものですしね。就活生の中には部活やサークルなどの活動内容を多少盛る人もいますが、技能面(内定を左右する要素)では能力の有無を証明するための書類提出が求められる場合も多いので、こういった行いは何の得にもなりません。
卒業するための単位が不足
就活生は社会人の一歩手前の立場にありますが、まだ学生の身分である事を忘れてはなりません。たとえ苦労して内定を獲得出来たとしても、学生の本分である勉強や出席日数を疎かにしてしまうと当然、単位が足りずに卒業する事は出来なくなります。内定通知を送る企業も相手が“卒業見込み”だからこそ契約を結ぶわけですので、もし選考を終えて承諾書にサインしたとしても卒業が難しくなったとなれば、雇用契約は破談となるでしょう。 言わずもがな「ちゃんと卒業するから気長に待っていてくれ」は通用しません。企業もそれほど暇でなければ人材確保に掛けるコストも馬鹿になりませんからね。
重篤な病気・怪我を負う
病気や怪我は本人の意思に関係無く起こる“イレギュラーな事態”ですが、どんな事情があれ怪我や病気の具合が甚大で働く事が難しいとなれば、内定取り消しもやむなしとなるでしょう。 今までの原因は就活生の“自業自得”なところが含まれますが、これに関しては企業によって相談して考慮するという雇用継続の余地もあるでしょう。多くの企業では入社時期が遅れれば採用を見直す事がベターなので正直望み薄ではありますが、何かあって身動きが取れないとなったら諦めずに企業の人事部に報告と相談をしましょう。
内定承諾書で不備があった
選考が終わり数日経過したら、学生の元には合格の通知書と共に内定承諾書(雇用契約書)が送られてきます。そもそも内定とは選考の過程で口頭で交わされるものではなく、採用が決定した段階で学生に書類を送り、そこに記載されている契約内容に合意して承諾した瞬間に、晴れて“内定”となるわけです。 しかし、その内定承諾書の内容に不満があり、承服出来ないと判断した場合は“内定辞退”をする事になるでしょう。なので承諾書が届いたからといってすぐさま記入するのではなく、ちゃんと1から10まで記載内容に目を通してから書く事が重要です。 ですがこの書類にもきちんと提出の期日が設けられており、万が一企業に郵送する期日を過ぎたとなった場合は採用の話は無くなります。他にも氏名や拇印など記入事項に不備があり、そのミスに気付かず提出しても承諾書は効果を発揮しないので、内定を取り消されるケースも考えられるでしょう。
上記が就活生に問題があって起こる内定取り消しの例になります。交通事故や病魔は意図せずして発生する事なので、“酌量”の余地は考えられますが、それ以外は自分だけでなく多くの人に迷惑の掛かる点となりますから、発覚すれば容赦なく内定を取り消されるでしょう。 特に最初に取り上げたSNSを用いた規律に反する発言、常識外れな行動の露見(トラブルや犯罪行為)は細心の注意を払う必要があります。特に内定承諾後は就活のストレスから解放されて気が緩みがちなので、甘く捉えずに“明日は我が身”の意識でいてください。 では逆に、企業の都合で内定が取り消される事はあるのでしょうか?
企業は膨大な手間と費用を費やし採用活動をしている事もあって、言うまでも無く人材確保には積極的です。 しかし盤石な基盤と世間的な信頼に圧倒的な資本金を抱える大手企業や優良企業と違い、中小やベンチャーではちょっとした業績悪化すら命取りです。企業を存続させるために余計な人件費や設備投資を削減する事も往々にして起こり得ます。その矛先は新卒採用に向けられる事も…。その事態に至った顕著な事例がリーマンショック後の大量の内定取り消しですね。 当時は団塊世代の定年化に伴い多くの若者の雇用に注目されていましたが、そのタイミングでアメリカの最大級の金融機関の破綻と数多の業界で引き起こった株価の大暴落で国内でも様々な企業が倒産。ギリギリの瀬戸際に立たされた企業も、やむを得ず学生の内定取り消しに踏み切ったという忘れがたい事例も残っています。 しかしこういった特殊な場面(著しい業績悪化)を除いては、企業の勝手な都合で内定者の将来を左右する事は法律で許されていませんのでご安心くださいね。
内定辞退と内定取り消しの割合
内定取り消しになると企業はハローワークに通知する義務があります。過去のデータで申し訳ないのですが、平成28年度の通知集計を見てみると内定取り消しになった学生数は86人ほどとされています。 しかしこれは“あくまで”企業がハローワークに通知した事で算出された人数であり、企業が内定取り消しを行い報告をしていない可能性もあります。要するに86人以上の“元内定者”が数多く存在する事も大いに考えられます。 取り消しは企業から学生へ下される処置ですが、就活では内定取り消し以外でも就活生が自分の都合で企業からの内定を断る“内定辞退”も含まれます。
かつての就職氷河期とは違い、今は少子高齢化と働き方の多様化による人材不足で学生が内定をとりやすくなった売り手市場の状況にあります。その影響もあってか、学生が企業を選ぶ立場になる事も珍しくなく、最も理想的で条件の合う企業で働くために複数確保した内定を一社に絞って他の企業を手放す姿も多く見かけるようになりました。 この傾向は年々増加の一途を辿っており、上場や業種に関係無く全国的に50%以上の割合で辞退率を記録している事が判明しています。
内定取り消されるときの通達方法
何かしらの問題があって内定を取り消される運びとなった場合、企業は学生にどんな手段で取り消しの旨を伝えるのでしょうか? イメージだと企業の人事担当者が、電話あるいはメールで学生に取り消しの報告をしてくるように思えますが、実際は「内定取消通知書」という書面を郵送して知らせるのが基本です。 中身としては最初の文面で「〇月〇日に採用を決定していたが、下記に記載している理由によって貴殿の内定を取り下げるに至りました」とシンプルにまとめられ、その後に“なぜ取り消されたか”が箇条書きで記されます。フォーマットは内定通知書とそこまで違わない感じですね。 その後はきちんと取消通知書が届いているかの確認や、状況の説明込みで電話が掛かってくるでしょう。学生が「不当だ!」と判断して最悪、裁判へ発展した事例も過去に何度もあったので、そういった連絡も内定取り消しの通達工程に含まれます。
まとめ
いかがでしたか? 品行方正に振る舞い真面目に生きていれば、内定取り消しへ発展することはまずありません。しかし、毎年の就活では事情があって内定を取り消された就活生も一定数現れるものです。 内定を取り消されたらまた就活を継続しなければならず、企業も改めて採用活動をする羽目になってしまいます。お互いにとって何の得もない内定取り消しですが、こんな事態に陥らないようにネットリテラシーや生活環境に一層、注意を払ってくださいね。