就活を始めると自己分析や企業研究に意識を向けがちですが、忘れてはならないのは採用活動を行う企業側の考え、スタンスに寄り添う気持ちです。

相手がどんな新卒を欲しがっていて、なおかつ人材確保をするうえでどんなことに気を配っているのかを理解しているだけでも、対策のしやすさや精度は大きく変わります。

今回は、人事の気持ちを理解することの重要性や彼らの情報源をお伝えしていきましょう。

 

 

人事の気持ちを知ることは就活をするうえで重要

 

就活を前向きな気持ちで終わらせるには、自分のこれまでの人生を振り返って強み弱みを把握してアピール材料の整理を行う自己分析だけでなく、志望する企業の1から10までを知る企業研究も重要。

「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」という格言があるように、相手=人事と自分自身を十分に理解していなければ有効的な闘いの術を見出すことができず、望む結果を手に入れられなくなるわけです。

もちろん、インターンやセミナーへの参加で就活に関する知見を広げている就活生に対して、いまさら企業研究の大事さを説くのは釈迦に説法もいいところでしょう。

しかし、相手のことを知るというのは何も企業の雰囲気や働き方に事業展開、今後の展望といった情報だけを指しません。

ここで言いたいのは、採用活動の最前線に立つ企業の人事担当者の気持ちも含めて研究していくべき、ということです。

 

就活生と同じく人事担当者にも課題がある

 

営業や製造といった仕事と同じように、人事も企業から“ノルマ”を課されているもの。

新卒という新戦力を確保して利潤の追求をするために、人事は年間の新卒採用計画を立てて、限られた予算を就活市場でどう運用していくかを考えていかねばなりません。

正直な話、新卒採用はこちらが思っている以上にコストがかかるものであり、相場でいえば平均で新卒1人につき50万程度の費用が必要。5人~10人、20人ほどの人材を確保しなければならないとなれば、数百万単位の経費がかかるでしょう。

それだけでなく、企業説明会やインターンといった新卒向けのイベントを開催するのにも会場準備から始まり、人員配置、パンフレットや資料の作成、求人サイトで広報などで時間・費用・人手のコストが重なり、トータルでいえば一千万以上のお金が必要になるのです。

 

もちろん、それは人事担当者の裁量によって独断で行うわけにはいきません。

最終的な決定権を持っているのは経営者サイドであって、かじ取りを行っている立場から見直しを指示されれば涙を飲んで予算削減に尽力しなければならないわけです。

特に大手よりも会社規模が小さく、資本金も決して充実しているとはいえない中小企業クラスになると、新卒1人にかける費用の捻出もギリギリになり、それこそ慎重に人材確保の計画を立てなければならないでしょう。

それだけでなく、採用のためのセクションがきちんと設けられているならまだしも、選考に避ける人員が不足していれば、一般の社員が採用活動を通常業務と並行して“二足の草鞋(わらじ)”で関わる場合だってあるのです。

 

企業にとって売り手市場が向かい風に

 

ここだけみても、企業が時間をかけて新卒を吟味する理由がお分かりになることでしょう。

人事が必要な時間と費用をかけて満足のいく人材を見繕い、無事に確保できれば成功といえるでしょうが、人材不足によって学生に優位な売り手市場が浸透している現在では、そう単純にいきません。

その代表例が「内定辞退」ですね。今では内定率の変動が右肩上がりであり、本選考が解禁されて2ヶ月あまりで80%超えも珍しい話ではなくなりました。

ただ、そこだけ拾えば喜ばしい話ですが、一度内定を提示しても別の企業に目移りして結局他所の内定を承諾する人もここ数年で爆発的に増えてきたのです。

ですが、自分にとって居心地が良く、理想を叶えてくれる職場を選択する権利が就活生には与えられているので、辞退の正しい手順さえ踏んでいれば誰も責めることはできません。

 

しかし、上記のようなプロセスを経て新卒採用に投資をしても、結果的に人材を得ることができなければまた一からやり直し。再度コストを支払って採用活動を継続するわけです。

企業によっては、採用を断念したことで倒産してしまった、なんてケースもありますので、人事担当者は内定辞退を避けるためにガムシャラになります。

このように、企業の魅力や仕事の大変さを知るのも就活では外せない要素ではありますが、採用活動を続けている企業、とりわけ“矢面に立つ”人事担当者の背景や気持ちを考えれば、就活に向ける意識も変わっていくでしょう。

よくネットでは選考を終えた就活生が、企業の人事担当者へ呪詛の発言を吐き出すシーンが目撃されます。しかし相手の心情や姿勢をあらかじめ認識していれば、もっとお互いに気持ちの良い意思の疎通とニーズ・ウォンツの汲み取りができるはずです。

 

採用活動を行う人事の情報源とは?

 

そんな人事担当者が就活のトレンドや優秀な学生のタイプを知るために、どんな手段を用いているのかというと、大学の就職課が筆頭に挙がります。

今では企業と協力関係にある大学の数も多く、学内で開催される説明会などでも就職課が企業と学生を結びつけやすくなりました。

信頼を結んだ学校の新卒欲しさに、企業が毎年特定の大学に求人を出すのも当たり前となっており、学生の就活をサポートする意味で、就職課が企業のニーズに合った学生を検索して紹介する流れもよくあります。

ナビや求人サイトの活用ではお金がかかるだけでなく、企業が求める人材が集まるとは限りませんが、提携関係にある学校を訪問することで自社の特色や売りと合致する就活生を見つけやすくなるだけでなく、就職課の利用はタダなので、コストをそこまでかけずに広報を行えるわけです。

まとめ

 

このように、「就活」と聞くとどうしても企業選びに関する準備や選考への対策に意識を向けてしまいますが、採用活動を任されている人事担当者のツラさや責任の重さ、そして人材のチェックで工夫している点を認識しておけば、今まで以上に企業へ親しみを持ってアピールを行えるようになるはず。

「表面上」というと聞こえは悪いですが、オーソドックスな企業研究だけでなく、こういった裏側事情もOBOG訪問や企業説明会などで掘り下げておくようにしましょう。