数年前から就職市場は「売り手市場」と言われています。この言葉だけを聞くと、希望する企業へ簡単に就職出来そうな印象を持つ就活生も多いのではないでしょうか? しかし、いくら売り手市場だと言っても、希望する企業に全員が就職出来るなんて事はあり得ません。あまり楽観視していると危険です。この記事では新卒が見るべき就職市場の真実を解説していきます。

 

 

 

 

就職における“売り手市場”とは?


 

就活を始めると、売り手市場・買い手市場という言葉を耳にする機会があると思います。就活の場面では当たり前に使われている言葉だけれど「正直あまり意味が分からない」という就活生も多いのではないでしょうか? そんな今更聞けない言葉の意味をまずは解説していきましょう。そこでたとえ話ですが、どのような場面でも物の売買には「売り手」と「買い手」が存在します。スーパーで野菜=商品を買った場合、スーパーは売り手になり消費者は買い手になります。では就活にとっての野菜=商品とは何でしょうか? それは、「就活生の労働力」です。売り手は労働力を売る「求職者」の事を指し、買い手は労働力を必要とする「企業」となります。

ならば、就活における「売り手市場」とは、どのような意味なのでしょうか? ここで言う売り手市場とは求職者数に対して、求人数が多い場合を言います。ですから、求職者は多くの求人を見比べより良い企業を探すことが出来る為、求職者が優位、つまり「売り手市場」だと言われているのです。「売り手市場」は有効求人倍率が1を超えた2014年から始まり、2019年4月時点での有効求人倍率は約1.63倍と依然として売り手市場が続いているようです。

 

売り手市場はウソなのか!?その真実とは


 

数字で見る限り「売り手市場」と言われている事は確かですが、すでに就活を始めている人で実感している人はどれ位いるのでしょうか? また大手企業や人気の業界などを志望している場合、安易に“売り手市場”と言ってしまってよいのでしょうか?

そこで知っておきたいのは、上記で出てきた有効求人倍率がどの様に出されているのかという事です。有効求人倍率は全国の公共職業安定所(ハローワーク)に申し込まれている求職者数を求人数で割ったものを厚生労働省が発表しています。この求職者数には新卒者の数は含まれていない上に、求人数にはパートタイムやアルバイト・契約社員なども含まれているのです。この事から有効求人倍率は新卒の就活生にとってはあまり参考にならない数字と言えるでしょう。では新卒の就活において「売り手市場」は嘘だったのでしょうか?

リクルートワークス研究所の調査によると、2020年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.83倍と発表しています。2019年の1.88倍からは若干の減少がみられますが、数字を見る限りでは新卒の就活においても「売り手市場」と言えるのではないでしょうか。(※1)

では次に、大手企業や人気の業界でも「売り手市場」と言えるのかを考えていきましょう。結論から言うと、大手企業や人気の業界に売り手市場はありません。むしろ売り手市場という言葉を聞き「自分にも受かるチャンスがあるかもしれない! 」と志望する就活生が増えていると言われています。しかし、大手を志望する場合は注意が必要でしょう。2020卒予定の大卒求人倍率は従業員規模別に見ると300人未満企業(中小企業)では8.62倍、5,000人以上(大手企業)では0.42倍という結果が出されました。数字を見ても、大手企業に就職するのは狭き門だということが分かります。

「売り手市場」という言葉に惑わされて大手企業や人気の業界ばかりを考えていると足もとをすくわれる結果になってしまうかもしれませんので、中小企業の優良企業も視野に入れておいた方がいいでしょう。

 

いつまで続く?売り手市場


 

2014年から続いている売り手市場ですが、その風潮がいつまで続くかははっきりしていません。しかし、2020年の東京オリンピックの後は景気が停滞するのではと囁かれているようです。実際、1964年東京オリンピック後の1965年は「昭和40年不況」と呼ばれるほど景気が悪化しました。2020年のオリンピック後も、五輪関連で雇用が増えた業界や不動産バブルも弾けると考えられています。他国のオリンピック後の景気を見ても、不景気になる国が多いようです。不景気になれば当然就活にも影響してくるでしょう。

さらに、2021卒から就活ルールが廃止されます。この事も就活市場に影響すると言われています。従来の様に大学3年の3月に企業の説明会が始まり、6月から大手の選考が始まるといった流れではなくなるのです。場合によっては企業が優秀な人材を早くから確保する為、大学1年で内定を貰う人も出てくるかもしれません。この様な人材はほんの一握りの話ですが、逆に就活の長期化も考えられます。就活のスタート時期が決まっていなければ、就職後のミスマッチを無くす為にじっくりと選考する企業も出てくるかもしれません。

いずれにしても景気には波がありますので、いつまでも売り手市場が続くとは考えにくいと言えるでしょう。また上記で説明した通り、売り手市場と言われている現在も業界ごとで大きな違いがあります。逆に不景気になったとしても好調な業界はあるのです。売り手市場でも買い手市場でもしっかりとした正しい情報を集め、就活について考える必要があるのです。

まとめ

 

いかがだったでしょうか?就活市場が売り手市場だということは、全ての業界業種に当てはまる言葉ではないようです。「売り手市場だと言われているのに内定が貰えない」と嘆いている人は、大手企業や人気の企業ばかり受けていませんか?注意すべきは、大手企業や人気企業が「売り手市場」ではないということです。中小企業でも優良企業はありますので、検討してみてはいかがでしょうか?

 

(※1)

出典・引用元:

https://www.works-i.com/research/works-report/item/190424_kyujin.pdf