「拙い文章より心に響く文章」これこそ理想的なライティングの在り方ですが、頭では分かっていても実行に移すのはなかなか難しいですよね。“文章を書く”事を生業にしている人なら問題ないでしょうが、読む価値がある説得力に富んだ文章を書くのに慣れていない就活生だと上手くいかないものです。本稿では履歴書やESの作成に悩んでいる就活生向けに、“上手い文章”を書くためのコツを紹介していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも上手い文章って何?

 

 

 

 

雑誌や新聞、個人ブログやSNSなどと、読者の嗜好や目的は違っても情報化社会の“恩恵”によって、日常的に紙やWebで文章に接する機会が増えた現在。ただ、読んでいて意味のよく分からないメッセージや書き込みに出くわすことはありませんか? メディアに身を置き、膨大な情報を収集し、それを基に記事を作成するプロの物書きですら、客観的に自分の“作品”を見て「語彙が少ない」「表現の仕方が微妙」と感じるものです。特に高水準な文章を作る事に慣れていない学生の皆さんが、読み手に向けて正確に自分の考えや意欲を伝えるのはとても難しい事だと思います。ただ“書く事”と“読む事”は別物であり、書く作業に苦手意識を持っていても、普段から書籍やニュース記事を読んでいる場合、既存の文章に対して「この文は上手いなぁ」と感じる事も往々にしてよくあります。

では、世に出回る“上手い文章”とはどんなものなのでしょう?

 

相手に伝わる文章を書くこと

社会に出ればメールやLINEといった業務上のやり取りは勿論、会社への報告書の他にも企画書や提案書、稟議書の作成は日常の業務になります。そして、文章の一番大事な事は相手に伝わるコミュニケーションツールだということです。相手に正確に伝わらなければ何の意味もないのです。

 

限られた時間や文字制限がある試験などの場合は、伝えたい事をまず先に書くのが重要です。新聞記事やコラムなどはそのような書き方をする場合が多く、原因や経緯はその後に書き、段々内容を薄くしていくようにすれば時間内に書き上げる事が出来ます。

 

 

上手く書くコツはあるの?

 

 

 

 

相手が「読みやすい」と感じ、内容もスムーズに吸収出来る文章を作成する際の注意点を以下に纏めてみました。この基本的な10項目をよく頭に入れて書くようにしてください。

 

1:伝えたいことを最初に書く

真っ先に結論(一番伝えたい内容を指す)を最初に書いてカッコで括ります。そうする事で相手はどんな内容かを早期的に理解出来て、文章への興味付けを狙えるのです。制限時間があったり、枚数の限られた小論文などでは効果的です。履歴書やESでも、担当者の目に留まりやすく、強い印象を与える事が期待出来ます。

 

2:主語と述語が合っていないと違和感のある文章に

文章の一文があまりに長くなってしまうと冗長的に感じるだけでなく、文のニュアンスも迷子になってしまいがちです。読んだ人に正しく理解させるには、なるべく余計な言葉を途中に挟まず、“一文を短く簡潔にする”方が曖昧さを無くすだけでなく読み手に対しても親切です。「子供のような文になってしまうのでは?」と心配に思うかもしれませんが、短い一文を途中に挟む行為は、読んでいる側も一呼吸置けるので内容把握の余裕を持たせる効果がありますよ。

 

3:「…が、」「…なので」「…のため」などを多用しない

一文に多くの内容を盛り込みたくて、上記の言葉を多用する人がいますが、上手く繋いだように見えても情報が多すぎると相手が理解しにくくなります。一文の情報はあまり多くせず、「なぜならば」や「その原因は」などの言葉で繋ぐとよりインパクトがあり、伝わり易くなります。話す場合でも講演会などでよく使われる手法です。

 

4:具体的な数字を盛り込む

文章で規模の広さや動員数などを相手に伝えたい時があると思います。特に今はネットのアクセス数の多さを盛り込むとインパクトがありますから、そのような場合はなるべく具体的な数字を出すと読み手がイメージしやすくなります。数字は読み手の頭に入りやすく印象に残るものです。ただ、「東京ドーム〇個分~」のように曖昧な上に使い古された言葉は極力避けた方が無難でしょう。

 

5:余計な繋ぎを削って簡潔な文にする

先ほど繋ぎの言葉を紹介しましたが、汎用性の高い分あまり使いすぎると文章のクオリティーに影響が出てしまい読みにくくなります。「…によって、より価値が」「それに伴って」「…においても」などで繋ぐと論理的かつ格調が高いように思いますが、多用しすぎると鼻につきます。なるべく削って簡潔にしましょう。

 

6:句読点を打ち過ぎないこと

やたらと「、」の出てくる文章を見ることがあります。どうしても付けなければ意味が曖昧になってしまう場合や、一文が長すぎて読みにくい時以外は出来る限り削りましょう。その方がずっと読みやすくなります。

 

7:文章に敬語を使い過ぎないこと

取引先から来たメールや依頼書に、やたらと敬語を使ったものを目にすることがあります。あまり敬語を盛り込み過ぎると滑稽な文になってしまいます。特に応募先に提出する履歴書やESはそうなりがちです。敬語を文に使う場合は、尊敬語や謙譲語、丁寧語の使い方を間違えないよう正しく、多すぎない様にしましょう。

 

8:くどい言い回しや漢字の使い過ぎは避ける

くどい言い回しは事実をぼかしてしまいがち。ストレートに書いた方がずっと伝わり易くなります。また、漢字を使いすぎると大切な部分が目立たなくなります。特に接続詞や繋ぎの言葉はひらがなにしないと、古臭い文章に見えてしまうこともあります。

 

9:同じ言葉の繰り返しは拙い印象を与える

同じ言葉を繰り返す文章を見かけることがあります。特に同じ熟語の繰り返しは読んでいて違和感があり、内容の弱さや語彙の貧困さが読み手に伝わる可能性も大きくなるでしょう。それは要するに文章の信憑性にも直結しかねません。類語でも構いませんので、繰り返しにならないよう違う言葉に置き換えましょう。日本語には同じニュアンスの言葉が幾つもありますから、被らないように上手く使い分けましょう。

 

10:接続詞は最小限にとどめること

文書を書いているとつい多くなってしまうのが「しかし」などの接続詞です。ただ、多くの場合は無くても意味は伝わり、むしろ無い方がすっきりします。ESや自己PR文などを書く時はどうしても使ってしまいますが、なるべく多用するのは控えましょう。

 

読み手の発想で書くのがプロ

 

 

 

 

そしてプロとアマチュアの書き方の違いは、経験の乏しいアマチュアが“書き手の発想”で書くのに対して、プロは“読み手の発想”で書きます。そこが読者を離さない決定的な違いです。どこかで聞いたことのある言葉を書いても誰も注目しませんが、プロの文章はお金を払っても読みたいと思わせる力があります。その違いは発想なのです。そのコツを紹介すると以下のようになります。

 

1:正論を書いても興味を示す人はいない

誰でも知っている当たり前のことを書いても、その先を読みたいと思う人はいません。例えば「万引きは犯罪です。絶対にしてはいけません」と書いてもポスターの言葉と同じですから興味を示す人はいません。でも、映画ではありませんが「万引きをしなければ生活できないほど生活に困窮している人がいます」と書けば、センセーショナルな文言に読者は多少なりとも興味を示すでしょう。書き手の発想に反対の意見を持っている人も必ずいますから、「万引き以外に手段がなかったのか?」「まじめに働くことを考えなかったのか?」などの追及があっても、意見を押し通すのがプロの書き手です。

 

2:物事も本質に迫る文章を書く

自分の身の周りで実際に起こったリアルな体験は、物事の本質に迫ることが出来ます。ですから、どんな些細なことでも身近に起こったことやそのことで自分の感じたことを書けば、興味を持って注目して貰える可能性があります。文章の構成力や執筆のスピードだけでなく、興味付けをしやすいネタを見つける柔軟な姿勢も大事ですよ。

 

3:奇を衒わず、読み応えのある文章を心掛ける

正しい日本語を使い“読みやすい文章”を心掛けて書くのは当然ですが、企業への提出物であり選考の判断材料となる履歴書・ES、小論文・作文などは、丁寧かつ興味を引くような内容に落とし込む事が肝になります。

就活にまつわる文章となる場合、いかんせん内容も堅く無難なエピソードを盛り込みがちですが、それでは他の就活生に埋没してしまいます。“文章の形式や礼節を崩さず、どう自分の個性を表現するか”を考えるのも、書類選考を通過する可能性を高めるきっかけに繋がりますよ。

 

“頑張った実績や過程”は履歴書やESに盛り込んで損は無い

 

 

 

 

就活では部活動やサークル、ボランティアなどの取り組みを履歴書やESに使う事がベターですが、就活生の中には「自慢出来るような結果を残せなかった」とネガティブになる人も少なからず存在します。ですが、書類を通して企業が知りたがっているのは「活動の概要や結果」ではなく「自身の努力の過程や学んだ事」。

部活やサークルでリーダー(副リーダー)など重要なポストに就けなかったとしても、誰しもが与えられた課題や問題に必死になって取り組んだかと思います。

 

確かに役職就きなら担当する活動の幅や責任の重さなど、注目されるポイントは多いですが、そうじゃないからと言って自分の努力の日々を「どうせ興味を引かない」と卑下して語らないのは非常にもったいない。どんな些細な事であれ、自分が積極的に取り組んだ時の姿勢や行動、学んだ事や独自の考え方を、読み手がイメージしやすいように分かりやすく伝える事が就活では重要なのです。

それだけでも自分の人柄というのはある程度相手に理解してもらえますし、「じゃあ仕事にどう活かすつもりなのか?」と興味を引きやすくもなりますよ。

 

まとめ

 

 

いかがでしたか? 文章のクオリティー向上は「どうすれば相手にストレス無く理解してもらえるか」を考えた時から始まります。適度に句読点を打ったり、過度に似た表現を使わない、全体のボリュームを気にしつつ、一番伝えたい箇所(結論)はなるべく簡潔に話すなど、テクニカルな面も覚える必要がありますが、まずは自分の語りたい内容を整理しつつ、読み手の気持ちになってから執筆していきましょう。