仕事の形は数えきれないくらい存在しますが、IT業界ほどの成長度の高い業種はなかなか見かけません。SEやインフラエンジニア、WebデザイナーやプログラマーなどITのシステム開発・コーディングや運用に関わる職種も多くありますが、世間的に不安視されているのが過酷な労働環境です。エンジニア志望の学生の中にも、安い給料や長い就業時間を気にしている人は多くいらっしゃるのではないでしょうか? 今回はIT業界自体の将来性やエンジニア職の離職率について触れていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

切っても切り離せないIT技術

 

 

 

 

ビジネスシーンのみならず私達の生活に密着した存在となっているIT技術。十数年前までフィクション内の産物と捉えられていたネットの各技術が、現代では身近な代物として多くの人に活用されています。日本でのIT業界の推移を見てみても、世間的な注目度や業界市場規模の拡大数は毎年右肩上がりであり、その影響もあってITの世界に生きるエンジニアやプログラマーといった職種への需要も、市場の変化に伴い増加傾向にあります。まさに“情報化社会の恩恵”と言った具合でしょうか。

一般の風景ではスマートフォンの普及とそれに伴うアプリ群の出現、娯楽の面はもちろん、交通アクセスや健康などライフスタイル面の補助的な役割を担うなどと広く浸透してきています。ビジネスの場面では企業の案内を機械音声で補い、今までのオフィス会議を見直して、チャットツールの使用によって遠方でも円滑なやり取りを可能に、芸術でも人工知能(AI)が絵画を描き4000万を超える値が付くなどと、携わる分野に関係なくIT技術への信頼度やクオリティーに多くの人からの期待が高まってきています。このようにどの産業でもどんな人物にもITの存在は切っても切り離せない状態になっております。

 

AIやRPAの台頭で他業種にも影響が

 

 

 

 

ただITの技術躍進、利便性の向上というのは、他の産業に大きな影を落とす結果にも。というのも書類整理や情報処理(データ分析・解析)といった業務、窓口業務、情報の管理・監視といった仕事は、そう遠くない未来で機械に代替されるという話があります。AI(人工知能)とRPA(ロボットによる業務自動化)による機械化です。今まで人の手を介して多くの手間とコストを費やしていた既存の仕事が、AIとRPAの組み合わせによって圧倒的な時間の短縮と正確なデータの割り出しを可能にするのです。この二つの技術はまだまだ発展途上ではありますが、現段階でも取り入れ始めている企業が増えてきており、業務の効率化・生産性の向上によって、失業の憂いに遭う人も増加していくと危惧されています。

 

またそれだけでなく日本ではどの業界でも“慢性的な人手不足”が囁かれており、仕事の水準を下げるわけにいかなくても、業務を滞りなく行うための人材確保が厳しい状況にあります。それは単純に仕事に従事している者への待遇の悪さも考えられますが、人手不足に拍車を掛ける大きな要因は、高齢者の増加・若年層の全体数低下という「少子高齢化」も挙げられます。昭和のベビーブームは何処へやら、現在では全国的な出生数は減少の流れを辿っており、それに反比例するかのように60歳以降の高齢者の数は何万人規模に年間膨れ上がっているのです。働き手がいない(育成出来ない)という少子高齢化の側面によって、既存の労働力では限界のある作業をロボットや人工知能といった高度なテクノロジーで補うのが、この先の仕事の風景で常態化していきそうです。

 

また、現時点で判明している“失業対象”は次の通り(米国調べ)。「タクシーやバスなどの運転者」「ビルの管理人」「コールセンター業務(案内係)」「レジ打ち」「積み下ろしなどの作業員」「セールスマン(営業職)」「一般事務」などが挙げられます。こうして見て分かるように、力仕事や単純作業(ルーティンワーク)は機械に任せても問題が無いとされ、日本でもこの代替の波が押し寄せる可能性が大きいとされています。他にも情報処理の観点で言えば「税理士」「会計士」といった難関国家資格保有持ちですら機械にバトンタッチするとされています。今まで「安心、安定、高給」と考えられていた仕事でさえ、高度なAI・RPAの前では淘汰の対象にされてしまう。一見、機械化は人手不足を解消し社会貢献の一翼を担うと期待されていますが、裏を返せば既存ビジネスの在り方を大きく覆し、職を失う人間の数も増やしてしまう原因にも繋がっているのです。

 

生き残るためにスキル向上を心掛ける

 

 

 

 

所属している企業がIT技術の運用で業務の仕方に是正のメスを入れるならば、「今任せている仕事はもう必要なくなる」と判断されたら早期的に転職を視野に入れるべきです。ただ機械(システム)に関わるエンジニアやプログラマーといったWeb関係の職種は大丈夫なのでしょうか?

AIの優れた特徴の一つに“情報処理能力”が一番に挙げられますが、AIが処理出来ない領域ではエンジニアの腕が特に活かされます。例をいくつか挙げるならば、システムを開発する上で欠かせない企画の立案や、全体的なプロジェクト管理に開発・運用に関わる各エンジニア達との調整などのコミュニケーション。これらの工程はいくら優れた機械でも行う事は出来ません。ただこれらを問題なく済ませるにはエンジニアとしての確かなスキルが必要とされるでしょう。“スキル”と括ると戸惑ってしまうかもしれませんが「プログラミングへの深い知識と技量」「発案やクライアントとの打ち合わせを行えるコミュニケーションスキル」「人材から作業進捗を把握するためのマネジメントスキル」「IT業界にまつわるニュース・トレンドを柔軟に吸収する姿勢」が浮かびます。冒頭でも触れた事ですがITの成長は日進月歩であり、個人の能力は大前提ですが業界への関心度やモチベーションが薄ければ早々に機械だけでなく大勢のエンジニアに取って代えられてしまいます。

「ヒューマニティースキル>機械」という構図を生むためには、“機械では補えない業務”“自分の得意分野の更なる追求”を意識する事が重要です。

 

 

 

もちろんIT業界といってもその幅は広く、細分化するなら「Webサービス業界」「インターネット・通信サービス業界」「IT情報処理サービス業界」「ソフトウェア業界」「ハードウェア業界」などに大別されます。仕事の仕組みからそれぞれの役割、業務に必要となるスキルも当然変わっていきますが、上記の対人スキル・プログラミングスキルをきちんと取り込んでいれば、人材不足も相俟って仕事を任せてくれる企業は見つかるでしょう。

 

IT業界の離職率について

 

 

 

 

悲しい事に「IT業界=ブラックばかり」と一般的にも認識されているのがこの業界のツライところ。仕事の3Kと聞くと“きつい”“汚い”“危険”が彷彿されますが、IT業界とりわけエンジニア職にも「新3K」と呼ばれるものがあり、“きつい”“帰れない”“給料が低い”などと、IT業界の労働条件の過酷さを訴える概念が近年登場してまいりました。実際、SNSの爆発的な普及によって社会人の仕事への悲痛な声も大きく取り上げられるようになりましたが、エンジニア職に従事する人の多くが、人間関係や課されたノルマに割に合わない待遇など、労働環境へのネガティブな気持ちを露見させるようになりました。これの影響もあって、学生達などの間でもIT業界への暗いイメージが定着する結果に繋がったと言えます。

 

気になる業界の離職率についてですが、これは業界全体での把握よりも志望する企業単位での離職率を気にしましょう。もちろん企業のHPや説明会で離職率を大っぴらにしている場所はほぼ無いと断言出来るので、確認手段は就職四季報やWebの就活口コミサイトでの書き込みを参考にしてくださいね。また離職率が高いか低いかの指標ですが、一般的には「離職率10%未満」がIT業界の中でいうと低めとされています。自身が入社を希望する企業が果たして人の出入りが激しいのかどうかは、この数値で判断してみてください。

 

そして、業界を擁護するわけではありませんが、過酷な労働というのは企業によってピンキリです。IT業界の大手企業では、経営が安定している事もあり収入もまずまずで福利厚生もしっかり整っている場合もあれば、ベンチャー企業だとエンジニアとして頑張った分がきちんと給料に反映され、日々の業務カロリーが重くても自分の評価はしっかり返ってくる場合があります。ちなみに成長を強く望むならベンチャー企業での就職をオススメします。入社から間もないタイミングで難易度の高い仕事を任せられるケースも多いですが、若くしてキャリアポジションに就ける事も珍しくありません。

まとめ

 

 

SEなどIT業界に含まれるクリエイティブな仕事には、十分なやりがいだけでなく過酷な場面も度々散見します。ですが社会の基盤であるWeb・ITの根幹に関われるというのは、「自分達の働きが企業や街の存続に繋がっている」といった自慢になるはずです。働き方改革によってIT業界でも、賃金や残業時間などの労働条件に改善の兆しが徐々に現れてきてはいますが、他の職業に比べるとまだまだツライ面が目立つのが特徴的です。ですが近年国内でも義務教育にプログラミングを組む姿勢を取ったり、アプリやネットショッピングの増加に伴いITエンジニアの価値の見方が変わってきているなど、IT業界も数年~十数年前の環境よりかは是正されつつあります。とはいえまだ課題が多く残る業界には違いありませんが、社会と密接に関わる仕事ゆえに業界としての将来性は大いにありますよ。