今後もますます発展が期待されているIT業界。たった数年間でスマホが一般に広く浸透し、アプリやネットショッピングなど多くのサービスの登場で、生活やビジネスの在り方にも大きな変化が生まれました。ただ、どんなに情報技術が進歩しても労働の過酷さや働き手の確保のし辛さ(出入りの激しさ)などIT業界の問題点は依然として残ったままです。今回はそういったIT業界が解決すべき課題に触れていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IT業界特有の問題点と“若者のIT離れ”

 

 

 

 

現在の就活の風景に目を向ければ、就活生が複数の内定を取りやすい売り手市場というのが特徴的であり、早期的に内定をいくつも手にしてから、本命の大手の選考に挑むスタンスも珍しくありません。企業目線でいうと、少子高齢化やアベノミクス効果による国内経済の変動も影響にあり、大手中小に関係なく多くの企業が優秀な学生を一人でも多く囲ってしまおうと躍起になっています。特に飲食や介護と並ぶくらい人手不足に頭を抱えているのがIT業界。昔からIT業界は「どの職種でも人が定着しづらい」とされていて、新卒・中途問わず年間の人の出入りが激しいのも特徴的です。労働の厳しさも気になるところですが、近年ではSNSによって業界自体のネガティブなイメージが目につきやすくなりました。膨大なサービス残業やハラスメント、安い給料に心を壊されうつ病になったり自殺する若者の情報もメディアを通して目にする事も…。こういった背景があってIT業界への募りに募った不信感が学生の間でも広がり、「若者のIT離れ」とも言われるようになったのです。以下の方でIT業界の大きな問題点を3つほど挙げてみましょう。

 

【IT業界の3K】

 

3K…ブルーカラーの職種にお馴染みの「きつい」「汚い」「危険」の三拍子が一般的ですが、同じ概念がIT業界にも存在します。それが「きつい」「給料が低い」「帰れない」です。「きつい」はエンジニア一人に割り振られる業務の多さや多大な責任、頑張りに反した割に合わない給料、長い就業時間(サービス残業含む)の3要素。この3KこそがIT業界が敬遠される一番の理由と考えられます。

この概念が定着してしまい、本来のブルーカラー職種になぞらえてエンジニア達は「IT土方」と揶揄される始末…。ITという今の世の中を支えるのに必要不可欠なシステムを生み出しているエンジニア職ですが、この待遇が根本から改善されない以上は何も変わらないと断言出来ます。

盤石な基盤を持ち社員制度が優れている大手企業や、成果や成長に応じて早期的なキャリアアップ・昇給を見込めるベンチャー企業など、IT業界に属する企業はいくつもありますが、企業によって給料以外の待遇が最悪だったり、社員を使い潰す気満々だったりとブラックな気質が強い場合も往々にしてよくあります。逆に海外でのエンジニア事情では、完全実力主義ゆえに対価は漏れの無いよう支払い休みもしっかり取らせるのが普通の考え方です。

 

【横行するハラスメント】

 

ソフトウェア・ハードウェアを担当するエンジニア300人を対象としたとあるアンケート調査によると、上司からのハラスメントを受けた事があると回答した数が全体の2割強でした。その多くのパターンが“パワハラ”であり、平社員から新入社員まで幅広い層が上司からの圧力に苦しんだ経験があると答えています。特に社内での上司や経営層との距離が近いベンチャー・中小での発生率が高い事もこのアンケートによって浮き彫りとなりました。内容に関しては一番が「言葉の暴力」が挙がり、その他には「無視」「陰口」「理不尽な仕事」などが浮かびます。女性エンジニアの場合だとこれ以外にも“セクハラ”も含まれ、我慢する人もいれば耐え切れずに転職や退職の道を選んだ人も。

 

【IT業界の多重下請け構造】

 

エンジニア職志望で業界に飛び込んだ就活生の中には、業界研究が甘くて実際の働き方に苦しんだケースも非常に多い。その要因が業界の多重下請け構造です。こればかりは説明会などでは把握し切れない問題(IT業界の慣習)なので、正直このギャップに悩む事は仕方ないとも言えます…。

この多重下請け構造を説明する場合、ピラミッドの形をイメージしていただくと理解がしやすいです。ピラミッドの頂点にいる元請けが顧客からの要望を受け、その業務を分割して一次下請け企業へ、次に一次が二次の企業へとどんどん分割した仕事が下へと流れていくのです。

 

これは企業側や発注者からしたらメリットが大きいのですが、実際に従事するエンジニアにはたまったもんじゃありません。ピラミッドの下層でシステムを開発・試験や調整を行う人々からしたら下請け同士で余計なコミュニケーションのコストが生まれたり、2次3次の下請けは給料も安くなったり(中間企業がマージンを抜いて委託するため)、技術力に乏しい人でも行えるよう業務が細分化されると、エンジニアのスキルが“飼い殺し”になる上に、使い捨てのリスクも生まれるからです。つまり末端の作業者には旨味が全くありません。

 

 

 

IT業界の抱える人為的な問題により若者のIT業界への関心や人口数が低下してきていると話しましたが、それ以外にも人手不足の原因は存在します。

たとえば既存システムの基幹を生み出してきたエンジニアが次々に定年退職してしまった点。特に最近の傾向では若者はゲーム系のシステム制作に興味を引きやすいので、それ以外の汎用機エンジニアの穴埋めが間に合わないのも人手不足の原因として捉えられます。

 

他の原因ですが、IT市場は今でも拡大の一途を辿っており、それに伴い事業や企業の数も増加しています。というのもアプリ(ソーシャルゲーム)の経済効果は目を見張るものがあり、開発のコストも固定機などに比べて大幅に抑える事も出来るのです。

ITの進歩だけでなくITを活用した新たなビジネス(アプリ・ゲーム)の誕生などで、開発に回せる人材が足りなくなったというのも背景にあります。

 

優れたエンジニアほど海外に流れていく

 

 

 

 

このように技術躍進がいくら素晴らしくても恩恵を受けられるITエンジニアは全体のごくわずかです。ほとんどが上記のような待遇や働き方でも歯を食いしばって臨んでいます。しかしこれだけ問題が表面化しても給与の底上げや根本的な業務の見直しがなされていないのが現状。大手などならまだしも規模の小さく設立から間もない企業だと、まだまだエンジニアの市場価値を蔑ろにしている場合が多いです。その影響もあって近年ではアメリカや中国に韓国といった海外のIT企業の人材引き抜きも増え、同じような仕事内容でも国内と比べて得られる給与やキャリアアップの可能性に大きな開きがあり、腕を磨いた優秀な人材ほど意欲的に海外へシフトするパターンも増加傾向にあるのです。

 

エンジニアとしての技術力はもちろん、語学力やプロジェクトマネージャーとしてのマネジメント能力に自信があり場合は“ブリッジSE”がオススメです。こちらはITスキルを持ち合わせつつ日本と海外の間に立って円滑に業務を進めるよう指示するSEを指します。名に“ブリッジ”とある通り、両国間の橋渡し的なポジションですね。国内のIT企業でもオフショア開発に力を注いでいる場所が多いので、今後のIT業界で期待されている職種です。

 

IT業界で生き抜くためには?

 

 

 

 

目まぐるしい変化を遂げ、必要な知識もその都度変わってくる複雑なIT業界。既存の劣悪な労働環境は自分一人では変える事は難しいですが、ITエンジニアとしての自身の市場価値を高める事で、過酷なIT業界でも引く手数多な人材として輝く事が出来ます。そのためにはどうするべきか? まずは時分が携わる(あるいは志望している)業界への理解を改めて深めましょう。今の職場で問題な点(足りない点)は何かを見透して、そこから「自分が不満に感じている事」「仕事に何を求めるか」「将来的にどんなキャリアを歩みたいのか」など自身の望む条件と照らし合わせましょう。

そこに大きなギャップがある場合は、他のIT企業でも即戦力として働ける(転職を視野に入れる)ように「ITパスポート」や「応用情報技術者試験」といったエンジニア職に活きる資格の取得や、デザインやディレクターなど別分野の勉強も含ませると尚良いでしょう。

もちろんこういったテクニカル的な勉強も大事ですが、Web・ITの進化に追いつく姿勢や、自分なりの仕事のやりがいを見つけるのもIT業界で生き抜くには肝心な要素となります。

 

まとめ

 

 

 

Web・IT業界を志望している学生には中々シビアな内容になってしまいましたが、いかがだったでしょうか? もちろんIT業界は厳しい面がクローズアップしがちですが良い面も多くあります。今回特に際立たせたITエンジニア職も他の業界に比べてビジネス構造を学べる機会も多いですし、転職のしやすさも他の仕事に比べてしやすいのも特徴的です。そしてこれが最も大きいメリットですが、今後どんなにAIなどのシステムが更なる変化を遂げても、ITエンジニアとりわけSEが不要になる事がないという事実。もちろん慢心してスキルや新たな情報の吸収を疎かにしていると情勢に取り残されて使い物にならない場合はありますが、それは他の職業でも言える事。むしろITという“最先端”を日々追求していく事になる業界では、最新のトレンドやシステムの流れに柔軟な姿勢を持つタイプはどんな企業でも長生き出来るでしょう。企業によって程度は異なりますが実績や成果が返ってきやすいのも強みです。今回はあえてIT業界のツライところを解説したわけですが、業界の酸いも甘いも知る事も立派な業界研究ですよ! IT業界への就職を真剣に考える人は、是非この記事を企業選びの参考にしてみてくださいね。