売り手市場と囁かれ、就活生の就活が有利に進みやすい就活事情。この裏側には“慢性的な業界の人材不足”が起因しており、少子高齢化によって新たに若手が入って来ないのもありますが、IT化による業務効率化に順応出来ず古い慣習に縛られて就活生の興味を引けないというのも大きな要因として考えられます。ただ所謂ブラック企業ではこれ以外でも若手社員が入らない・早期退職が続出する様々な要因もとい問題点があり、そういった場所では社員の心身が常に疲弊気味で、シビアな言い方をすると“使い捨ての駒”のような感覚が蔓延っています。前時代的と思われるかもしれませんが、働き方も多様化が進み労働者の価値の見直しがされてきている今の世の中でも、こうしたブラック企業がまだ残っているのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラック企業の定義を認識して企業選びに活かす

 

 

 

 

正社員にしろ非正規雇用にしろ、まだ働いた経験の無い人からしたら「どんな環境がブラック企業に該当するのか」という認識がしづらいもの。その結果目先の給与提示や企業のアピールする仕事のやりがいを真に受けて“誤った判断”を行いブラック企業に就職するケースが一向に減りません。実際に働いてみて「最初に聞いていた話とまるで違う」と自分が騙された事に気付き、我慢して何年も心身共にボロボロにされる人や、数ヶ月で見切りをつけて新卒ブランドを無くしてしまう人の悲痛の声がSNS上でも毎年のように見かけます。このようにどんなタイプがブラック企業なのかが分からないと、その後の自分の人生に影を落とす結果となってしまいます。そうならないためにも本稿で“どんな会社がブラックなのか”をポイントに分けて紹介していきます。まだどんな企業で働こうか迷っている就活生の方は、以下の注意点を企業選びの判断材料として覚えておきましょう。

 

 

努力や結果に反して真っ当な評価を受けられない

 

大手しろ中小にしろ、自分の頑張った結果や貢献度がしっかり人事に評価されて、その後のキャリアステップに活かされたり昇給に繋がるというのは至極当たり前の流れです。しかしブラック企業にはそんな当たり前すら通用しません。ブラック企業の場合は考え方として“数を追うのは当然であり報酬を高望みするのは悪”という意識が根底にあります。それが新人だろうとキャリアを積んだ者だろうと関係なく、何時間も何日も必死になって働いてもまた別の案件を重ねて担わされる事が多いのが王道パターン。そういった労働サイクルについてこれないのは「根性が無い、やる気が足りない」とネガティブな印象を植え付けられやすく、前向きに結果や姿勢を捉えてくれないのがブラック企業といえます。

 

コンプライアンスの意識が低い

 

コンプライアンス(法令遵守)について深く理解していない、あるいは軽んじているのもブラック企業の大きな特徴ですね。記事の冒頭でも“使い捨て”というフレーズを用いりましたが、人を企業の貴重な財産としてではなくホテルのアメニティのような、いくらでも消耗しても代わりなんていくらでもいるという傍若無人な姿勢がブラック企業では常態化しています。この認識が浸透しているので、傍から見て「流石に言いすぎだろ…」というような発言も、ブラック企業の人間からしたらただの教育の一環としか考えておらず、挙句の果てには性別や身体的特徴などすら“口撃”の対象にしてしまうのです。パワハラはもちろんセクハラなどといった問題点がイメージしやすいかと思います。

それだけでなく成績の乏しい社員を社内でつるし上げ、人格否定の後に過度なノルマを課すなど、人権無視スレスレな言動すら厭わないようなコンプライアンス意識の欠如が顕著です。

 

月の残業時間が非常に多い

 

残業行為自体は別に悪い事ではなく、就業時間を超過した分は“まともな会社”ならきちんと支払ってくれます。そして残業を行うには企業と労働組合で「36(サブロク)協定」を結ぶ必要があり、その中で残業は月に45時間で年間で360時間以上は残業させる事を禁じているのです。それ以外にも過剰な労働によって病気の発症や怪我、あるいは自殺などによる労働者の死亡を避けるために「過労死ライン」を設けています。これは月の残業時間が80時間以上となった場合に適用されるものであり、この時間をオーバーすると、労働者に健康被害が発生する危険性が大きくなるという指標となっています。ただ大手広告代理店や飲食店でも数年前にニュースになっていたのですが、従業員が過労死ラインをオーバーしていて、その結果自殺してしまったという痛ましいケースも。また医療関係者でも医師の残業時間が100時間を超えているというデータも浮き彫りになるなど、各業界で残業によるダメージを甘く見られがちだという事が窺い知れます。

 

残業代も支払ってくれない

 

上記にて残業時間について話しましたが、長い時間ちゃんと働いたにもかかわらずその対価も支払ってくれないというのもブラック企業の問題としてよく浮上します。俗に言う「サービス残業」の横行が酷いのです。何時間何十時間と睡眠やプライベートの時間を削ってでも業務に向き合ったのに、超過分の残業代が給与に含まれない。こうなってしまうと労働者のモチベーションが維持しづらくなるだけでなく「頑張っているのに評価されていない」と考えて自分を追い詰め、鬱病を発症する事も大いに考えられます。

 

離職率が高い(人の出入りが激しい)

 

機械なら可能かもしれませんが、心も体も繊細な人間は長時間劣悪な環境で働く事に限界が来るものです。ブラック企業を見分ける上で参考にされるのが離職率。就活四季報や就活口コミサイトなどで企業・業種毎に詳細な数値が出ているので、企業選びの判断材料として就活生の間ではマストのアイテムとされています。また一般的には“入社後3年以内の離職率が3割を超えている”のはブラックだと認識されているので覚えておきましょう。

 

有給休暇を取る事が許されない風潮

 

有給を取るというのは労働者にとって当然の権利。ですがブラック企業でよく聞かれるのが「有給が溜まっているのに使わせてもらえない」という話です。どういう事かというと、何か月も業務に真面目に取り組んできたにもかかわらず、消化するべき有給を申請したら上司からNGを出されるというもの。こういった権利の侵害も平気で行われるのも問題ですが、誰かが申請を拒否されたら他の人も申請を出しづらくなるという集団心理も働いてしまうのもネックなところですね。

 

ブラック企業によって引き起こされた悲劇

 

 

 

 

ブラック企業は表面化しているものや数多の企業の陰に潜んでいるものと色々あり、重大な事故事件が発覚してようやくブラック企業の存在が浮き彫りになるのがツライところ。当事者(新卒と仮定)からしたら、実際に働いてハラスメントなどの悪辣なアクションが起きないと今いる場所がブラック企業かどうか判断しようがないのです。

そしてかつて就職氷河期を味わった世代だと「せっかく内定をくれたんだし我慢しなきゃ」と理不尽を耐え忍ぶ傾向にあり、その結果として精神に限界が来て注意力も散漫になり命にかかわる事故に巻き込まれたというのもブラック企業ではよく聞きます。過去にあった事例ですと、某印刷会社に勤めていた男性が機械に巻き込まれて圧死するという痛ましい事故が起きています。これだけ見るとよくある話と捉えられがちですが、この事故の背景には“月80時間を超えた残業”と“機械の老朽化”という問題があったのです。疲労困憊で正常な判断がしづらい状態で起こった死亡事故…。なのに事故を起こした企業では“機械の故障”程度と発表して当時は大きな波紋を広げました。他にもなんと200時間も残業を強いられ、自宅で会社員が心不全を起こして死亡したという事件もありました。ブラック企業に勤める“被害者達”にはそれぞれ事情があります。「転職したくても勇気が出ずすぐに出来ない」「家族もいるし年齢的にも他に行くところがない…」など。そんな気持ちに付け込んで、ブラック企業は未だに労働者を人間扱いせずただの歯車として運用しているのです。「人材不足」だとか「少子高齢化」だとか企業は市場の傾向に憂いていますが、社員を重んじない企業が多いために今でも若者の可能性を食い潰すような行いがまかり通っているのです。

 

今でも無くならないハラスメント

 

 

 

 

2015年に内閣府が発表したデータでは、勤務問題によって自殺してしまった数が2159人とされています。ただ「あれ? 意外に少ないね」と決して思ってはいけませんよ。死亡者が出ている以上、これを人数の問題として考えるのはナンセンスです。それに“判明している犠牲者が2159人”というだけであり、実際はもっと多くの人間が長時間労働やハラスメントによって苦しんでいるのです。また所謂「就労自殺」の被害者では女性が多く、先ほどから話している残業問題から職場のイジメ、そして上司・同僚によるセクハラやパワハラで精神を病み、自殺の道を選ぶケースが非常に多い。何の罪も無いのに生活のため夢のために社会人として精一杯働いているにもかかわらず、言葉の暴力やレッテル張りに過剰な業務でメンタルが崩れ命を絶つのは本当に悲しいですし、平然と行える環境を許してはいけないのです。

そしてこういった行為をしている人間に共通しているのが“罪の意識の希薄さ”。怒号で相手を追い詰めたり、身体を触って怯えさせたりしてもよく聞かれる言い訳が「ただのコミュニケーション」「もっと強い子になってほしかった」などです。これを読んだ人は「勝手過ぎる、ふざけるな」と思われる事でしょう。最初の段階でコンプライアンスについて解説した通り、ブラック企業ではこういった非常識(犯罪行為)が臆面もなく行われています。そして厄介なのが、ハラスメントが起きても被害者が告発しない限り、世間の人間がこの実態を把握出来ないという事です。

近年では働き方改革によって大手から中小など規模問わず多くの企業で待遇や問題の改善が少しずつされてきていますが、ハラスメントという根深い問題が解決するにはまだまだ時間がかかりそうです。

 

まとめ

 

 

 

 

何年経っても未だに根絶されないブラック企業。たとえ給与が良くて自分の求める仕事がそこにあるからといって、企業選びを安易に進めてしまうと最終的にボロボロになってしまうのは自分自身です。また海外に比べて日本人の過労死事案が多いのは、国民性である“真面目さ”が原因として考えられています。ですが理不尽な待遇を無理やり堪えて「まだ半人前だから…」と真面目に自己完結してしまうのは、多くの労働力を使い捨てるブラック企業の思うつぼです。自身の将来のためにもブラック企業に捕まらないために視野を広げ、“有給の権利”や“ハラスメントの線引き”など自衛に繋がる知識を身に付けましょう。