近年テレビでも注目を集めた存在で「高学歴ニート」の名前が浮かびます。誰もが知るような一流の難関大学を卒業した輝かしい過去がありながら、一切の就業経験が無く自堕落な毎日を送る彼ら高学歴ニート。優れた学歴がありながら何故どの企業でも働こうとしないのか? 今回は高学歴ニートに陥った理由や実態について触れていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プライドはあっても職歴無しな高学歴ニート

 

 

 

 

最初にニートと高学歴の一般的な定義について触れますが、日本では蔑称として名高いニートは「15歳から34歳の非労働力人口の内、家事も通学もしていない者」を指します。イギリス発祥の造語なのですが、2004年辺りから日本でも使われ始めました。ただ望んで無職になったタイプがイメージしやすいですが、働きたくても働けない状態にある人も含まれており、事情の有無で印象は大きく違ってきます。そして次に高学歴の定義について。人物の能力や人間性を評価するポイントとして重視されやすい“3K(高身長・高収入・高学歴)”の一部ですが、全国的にも高学歴と判断されるラインが“日東駒専”ですね。日本大学と東洋大学、駒沢大学に専修大学の頭文字を取ったこの4大学が一応のボーダーラインとされていて、これ以上の偏差値を誇る大学に所属しているとなれば、文句無しで高学歴と言えるでしょう。その一方で企業によって高学歴の線引きも変わっており、大手企業ですと多くが「march以上」という認識でいる事が多いです。ちなみにこちらは“明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学”の頭文字を取っています。一般常識として浸透しているものなので今の内に覚えておきましょう。

 

それでは、なぜ高学歴ニートが増えてきているのかを見ていきましょう。ニートに陥る原因は各人違ってきますが、大概の場合「自分に自信がないから」というのが理由として考えられます。もちろん「アルバイトだろうが正社員だろうが働く事が面倒くさい」といった自堕落な声も見受けられますが…。ですが学生時代に勉強に必死になって取り組み、国内選りすぐりの大学に在籍していた“エリート”でも、就活せず何年もニートとしてダラダラ過ごすというのが最近目立ってきました。ではそもそも高学歴という立派な強みがありながら何故ニートの道を歩むようになったのでしょうか。

 

もちろん本人の就業意識が元々低いというのも理由に挙がりますが、何年も前から問題視されている労働環境の悪化も、高学歴ニートを生むきっかけになっています。現在は働き方改革によって過酷な労働環境にメスが入るようになりましたが、それでも大手や中小に関係なく社員を人間としてでなくただの労働力として酷使する場所も多々存在します。月80時間を超える残業時間に対価を支払わないサービス残業の横行。シビアな業務内容に見合わない低賃金に、性別問わず攻撃の対象となるハラスメントの数々などと、未だに人権を軽んじる問題が蔓延っているのが実情。将来への希望を抱いて入社した新卒社員は、こういった理想と現実のギャップに苦しみがちですが、特に羨望の眼差しを受けやすい有名な大学を出たにもかかわらず、傍若無人で非常識な企業に入社してしまった学生は、「今までの努力や功績が無駄になった」と絶望し高学歴ニートに転じてやすいのです。

 

 

 

 

またどんな学生でも、就活へ意識が向いてきたら短期なり長期なりインターンシップに参加するのがセオリーです。インターンなら座学やグループディスカッションに、実際にアルバイトとして期間中は業務を体験するものなど色々ありますが、高学歴ニートには職業体験型のインターンはもちろんアルバイトをした事がない人も多く、働くとはどんな事なのかがイメージ出来ないというパターンも往々にしてよくあります。

そして自身の学歴を誇るばかりに、大手の大企業ばかりを就活のターゲットに絞って結果惨敗してニートとなった人も見かけます。このタイプに共通する意識が「優れた学歴を持っているんだから大企業も欲しがるだろ」というもの。そのために中小企業やベンチャー企業といった他の可能性を考えず、大手という持ち駒が全滅したために身の振り方が分からなくなってしまったのです。今でも学歴フィルターで学生を取捨選択する企業が多いですが、以前より働き方にも多様性が出てきて、どんな人材でも良い企業に入る可能性も高まってきたので、学歴一本で大手のみに勝負をかけて失敗する人も多くなってきました。

 

高学歴”が就活のプレッシャーに

 

 

 

 

高学歴ニートの中には好きでニートに転んだわけでなく、高学歴という看板がある故にニートになってしまったという人も存在します。難関大学に入学して数年間、高水準の勉強を積み重ねてきたから家族を含む周囲の人から将来について期待され、それが自分を追い詰める原因になってしまった。確かにレベルの高い学校にいたという実績で持ち上げられ、エリートとして就活でも有利に進めると周りに囁かれれば自信に繋がる反面、もし失敗したらどうしたらいいのかというプレッシャーもひと際大きくなりがちです。

 

このように高学歴ニートが生まれる場面は色々とあります。学歴という最大の武器が最終的に重みになり、それでも“勉強を頑張ってきた過去”と“高いプライド”が前に進むのを阻害してしまうのです。ニートという状況を抜け出すには、正社員以外にも契約社員や派遣社員といった非正規雇用の道も残されていますが、輝かしい学歴があるから非正規雇用の選択を視野に入れないという人もおり、そのまま職歴の空白期間が広がっていく結果へと繋がっています。

 

 

女性の高学歴ニートも増加傾向に

 

 

 

とある調査結果だと、高学歴ニートの男女の割合は男性が多い傾向にあるのですが、女性の高学歴ニートも年々増してきている状況にあります。ニートになった経緯は男性側と共通のものもありますが、女性の場合は結婚に対する意識も無職の要因に含まれています。

女性労働者ですとよくある話が「寿退社をしてそのまま専業主婦になる」ですが、就活生の時点だと「家族が病気や怪我で働けず、その影響で手伝いに回り就活を途中で諦める」というケースも。その後家の事情が落ち着いてきたが職歴の空白期間が伸びてしまい、遅れを取り戻せなくなった背景もあるのです。家事の他にも女性ですと男性に比べて非正規雇用として働く傾向もあり、正社員に比べて雇用契約の不安定さや収入面の不安ですぐ離れたり、時間が経って別の企業に派遣や契約で復帰というサイクルもよく見られます。

 

まとめ

 

 

 

 

いかがでしたか? 日本ではニートが社会問題として提起され続けていますが、ここ数年で優れた学歴を持ちながら無職になってしまった新たなニートの存在が表面化してきました。“高学歴”と聞くと誰もが「どの業界でも引く手数多では?」と考えるかもしれませんが、日本の企業ではまだ職歴の空白期間で本人の能力・人間性を疑問視する風潮が多くあります。「高学歴という誰もが羨む武器がいつしか最大の重荷になってしまった」「学業というレールから外れた瞬間、何を頑張ればいいのか分からなくなった」など就業意欲が失われた理由は色々ありますが、今後の人生の軌道修正を図るためにも、アルバイトや非正規雇用で経験を重ねて、徐々に働く事の意識を高める事が大事です。