働いていくと楽しい事ばかりではなく、どうしても嫌な業務や苦手な人物との関わりが増えていくもの。“石の上にも三年”と言われるだけに日本の就活では、未だ前職を3年以上経験していない人に対して能力や性格へ懐疑的な見方をする企業が多いです。そして過酷な就活を勝ち抜き見事入社を果たした新卒の早期退職率も減っていないのが現状です。こういった“すぐ辞める新卒”にはどんな特徴があるのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新卒がすぐに会社を辞めてしまう理由とは?

 

 

 

 

入社してたった1ヶ月~3か月の間で早期退職してしまうと、周りから「根気が無い奴だ」と思われてしまいがちですが正直なところ、そういうネガティブな印象を抱かれてしまうのは仕方がない事だと思います。社員の心身を酷使し続けるブラック企業の場合はまだ納得がいくものですが、退職に至った理由として中には、自分の認識不足や甘えから来るものもあり、一概に「こういう業種だから辞めてもおかしくない」なんて言えないのです。では具体的に新卒の退職理由にはどんなものがあるのかをここから解説していきます。

 

 

入社前と後で感じるギャップ

 

昨今の新卒が退職に至る理由として一番に挙がるものが、理想の働き方と現実との乖離です。就活生の時分は入りたい企業への情報収集や業界全体の研究など、入社後のミスマッチを限りなく抑えたはずなのに、実際に働いてみると当時では見えてこなかった企業の裏側や不可解な点に納得が出来ず結局辞めてしまったというパターン。当初は仕事を次々と覚えて先輩社員から一目置かれる存在を目指していたにも関わらず、覚える事の多さや責任の重さによってギャップが生じてしまう人が、新卒の中でよく見かけます。確かに仕事に対して情熱や理想を掲げるのは立派な姿勢ではありますが、初めの内から身の丈に合わない大きな理想を抱いてしまうと、仕事に慣れる前に心が疲れてしまいます。柔軟に軌道修正が出来るようにまずは自身のハードルを低く設定しましょう。

 

労働時間(残業の有無や長さ)の違い

 

原則としてどの業界でも8時間ほどが就業時間として定められています。ですが業種によって忙しさやニーズそのものに差があり、8時間を超過するケースも大いにあり得るのです。ましてや日本は未だに“残業=美徳”と考える前時代的な人間も多く、当初提示されていた労働時間をオーバーしているなんて事もザラです。現在では働き方改革によって少しずつ残業自体の淘汰が推し進められていますが、未だに就業時間を終えても職場の空気感で帰るに帰れないなんて話も絶えません。こうした全体主義は日本人の国民性とも言えますが、自分の仕事が終わったのにまだ帰れないという“残業意識の同調”がデメリットとして現れていますね。また、残業の話で言うと「サービス残業」の存在も新卒が早期退職する要因として挙がります。普通の残業なら超過分の給与はきっちり支払われますが、「仕事を覚えるための勉強代」という謎の理屈で新入社員を丸め込み、超過分の給与をカットするというケースもまだまだ根深いです。

 

仕事にやりがいを感じない

 

特に就活の際、企業を給与の高さや福利厚生で選んでいたりすると、入社した後に任された業務へ気持ちが入り込まないというパターンもよくあります。どんなに社会的な価値や貢献度の高い仕事でも、愛着が沸かないと嫌々続けている気持ちに陥ってしまいます。例えるなら、好きな子が所属する部活に入ったものの、全く興味の無い取り組み故に活動自体が億劫に感じ、やる気も楽しさも起きないって感じでしょうか。最初は我慢出来たとしても何年も従事して、やり直しがきかない年齢になってくると「このままでいいのか」という不安感に苛まれてしまう事も考えられます。

 

希望する部署へ配属されなかった

 

似通った業種がある中、特定の企業に魅力を感じ応募したわけですので、働いてみたい部署があれば進んで配属の希望を出す事でしょう。ですが大規模な企業ですと自分の希望がストレートに届かず、最初は別の部署でキャリアを積んでいく事も珍しくありません。その結果全く知らない土地へ転勤になったりして自身のキャリアプランに大きく影響する事も容易に想像出来ます。これは先ほどのやりがいの話と被ってしまうのですが、自分のやりたい事が叶えられず何年も興味の無い仕事を任されるとフラストレーションが溜まっていき、結果退職してしまうのです。

 

 

 

 

同期や上司との人間関係が煩わしい

 

仕事をしていく上で切磋琢磨し合う同期や頼れる上司の存在は掛け替えのない財産となります。ただ新入社員も人間ですので、当然性格的に合う合わないという懸念も浮かんできます。相手が好意的に接してきてくれて、分からない点を丁寧に教えてくれてもどうしても距離感を気にしてしまう…。こればかりは本人の性格に起因する生理的な問題ものですので仕方ないといえば仕方がありません。ただ、よほど悪辣な性格の人を相手にしているわけでもなく、ただ気に入らないからといって転職や退職を視野に入れるのは非常にもったいないです。入社して1年2年の間ではその人の持つ魅力に気付けなくても、その後自身の気持ちに変化が生じて互いに信頼し合える間柄になる可能性だって十分ありえます。

 

待遇が悪くて耐えられない

 

これは高卒・大卒、大手勤めや中小勤めなどで変わってくる問題ですが、新卒ですと当然働いてまだ間もない半人前なので給与は低めです。ただその後の働き方によってポジションが変わり給与も上昇、資格の取得などでも特別手当が付くなど長期的に見れば改善の仕方は色々とあります。ただ福祉系や飲食など「多忙で覚える事が多い割に金額が割に合わない」という声が目立つ業界では、こうした新卒時の待遇面での不満で早期退職する人がまだまだ多いのが現状です。

 

企業独自の社風が合わなかった

 

企業によってまちまちですが、社員の意識を維持・向上させたり仕事に飽きが来ないように独自のルール制定や雰囲気を醸し出す企業も多くいます。その環境に慣れたりすると特に苦痛に感じずにいられるかもしれませんが、何もかもが初めてとなる新入社員は、社員の精神論やテンションについていけず辞めてしまうという話も少なからず聞きますね。

 

入社した後で将来に不安を感じた

 

昨今の大手メガバンクによる人員削減や大手メーカーの改竄問題、そしてAIの技術躍進と市場への進出によって仕事が奪われ、いくら大手と言えども将来的な不安を拭い切れない状態となってきました。こういった不祥事やテクノロジーの進歩による危機は決して他人事ではないので、入社した後で問題が浮き彫りとなり、早い段階で転職を考えるという人も多いです。

 

 

早期退職は企業側にも原因がある

 

 

 

 

ここまで新卒がなぜすぐ辞めてしまうかという事に焦点を当ててきましたが、もちろん早期退職に繋がる原因は企業側にも含まれます。その要素はいくつか挙がりますがまず最初に浮かぶ代表例が「ハラスメント問題」です。ご存知の通り、ハラスメントには複数の形があり性別に関係なく肉体的・精神的に追い込む卑劣な犯罪行為です。新入社員の内は業務に関する知識の勉強はもちろんの事、お世話になる上司とコミュニケーションを取って少しでも環境に慣れようと努力するもの。ただそんな新入社員をパワハラやセクハラで傷つけて弄ぶ人間というのが、悲しい事にある程度存在するものなのです。「これは教育の一環」「強くなってほしいから」と後の祭りで言い訳を並べる“加害者”が近年でも全く減らず、成長の途中である新卒が鬱を発症して辞めてしまう、あるいは自殺してしまうという事案も度々ニュースになるほどです。

 

次が杜撰極まる新人への教育制度。世代によって仕事への向き合い方に差があるのもこれに起因しており、昔気質の社員は新卒へ「とにかく数をこなせ」「見て覚えろ」と抽象的な指示を送るパターンも多く、その結果新人が仕事についていけないという結果を招いています。大手の場合は教育の土壌がしっかりしている所が多いですが、規模が小さく平均年齢の高い中小企業では上記のような教育スタイルが目立ちます。こうなってしまうとたとえ工程を把握出来たとしても、その仕事をやる目的・意義を見出せずモチベーションを維持しづらいです。

 

また今よりITやテクノロジーの技術が浸透しておらず、手間を掛けて業務を行っていた人間にとって、長い時間かけて苦労する事こそが美徳であり、楽に課題をクリアするのは悪という誤った固定観念に取りつかれがちです。そういうタイプは長時間労働(とにかく量をこなす)事が全てであり、淘汰の傾向にある残業行為に何の疑いも持たず、それを新人にも強制する話さえ聞きます。こういった“時代の変化に順応出来ていない人”が未だにいる事も新人が伸びない・早期退職のきっかけにもなるのです。

 

そして新卒だろうと中堅社員だろうと会社との信頼関係があってこそ仕事が成り立ちます。ミスをしたらちゃんと叱って改善策を一緒に模索したり、業務の目標が達成出来たら昇進・昇給などきちんと努力と結果を評価する。人が長く続く会社とはこういった“当たり前”の事をしっかり守っているものです。しかし、この信頼関係を上役が軽んじたり平気で約束を破ったり謝罪もなかったりすると、どんな人間でも愛想が尽きて離れていきます。例えるなら、中小企業の社長が「売り上げ目標を達成した場合、業績賞与を与えます」と言ったにもかかわらず、期間内に目標をクリアしても賞与は出ず、知らぬ存ぜぬを貫いてしまった。その結果、仕事に対してのやりがいを見失い、会社そのものにも猜疑心を抱いてしまい何人も優秀な人間が去っていったというケースだって普通に考えられるのです。こういった企業で勘違いしている点が「給料(賞与)を出す事は責任を与える事であり、給料を受け取る事は責任を担うという事」。この例だと逆のパターンですが、こういった信頼関係や人のモチベーションについて甘く考える人が多いのも、新卒(この場合は中途もですが)がすぐに辞めてしまう要因として考えられます。

 

就活時点で“ヤバイ会社”を見抜くコツ

 

 

 

 

せっかく長い時間と手間を掛けて準備してきたのに、ちょっとした認識の違いで退職して新卒キャリアに傷をつけてしまうのはもったいない。後顧の憂いを断つ意味でも、ここで志望企業が本当に安心出来る環境かを確かめる術をお伝えします。就活する際は企業へ訪問する機会が多々あるかと思いますが、話をする人事担当者から受付に社内ですれ違う社員などの“表情を見る”のもポイントです。人間はどんなに気丈に振舞っていても疲れやメンタルから来る暗さは表情に出てくるものです。ただ一人二人の表情を見るのではなく、複数人の表情を確認して沈みがちだったり怖い雰囲気が漂っていたりすると「あれ、アットホームな雰囲気って聞いていたのに随分暗いな…」と違和感を覚えるかと思います。そういった生の情報は説明会やネットでは手に入れづらい貴重な判断材料ですので、チェックする事をオススメします。

 

また、人事担当者以外の社員と面談の機会を設ける事が出来ると尚、詳しい会社の内情が聞けるので試す価値ありです。人事担当者など採用に関わる社員から社内雰囲気や労働に関するネガティブな情報を聞き出す事はハードルも高くかなりリスクが高いですが、採用活動に関係していない人間と接触出来る機会があると仕事に関する情報だけでなく、キャリアに関わる話や実体験などより深い話を聞ける可能性があります。もし内定後に働く事に不安を覚えたならば、一度勇気を出して人事担当者以外の人間とのコンタクト(面談)が取れるかどうかも確認してみましょう。

 

そして就活生が企業研究で重宝するツールに「就活口コミサイト」や「就職四季報」の名が挙がります。これらは企業・業界の平均年収や残業時間、離職率といった情報を覗けるだけでなく、口コミサイトでは現役で働く・既に退職した人間からのリアルな書き込みも見れるので、聞きづらい情報があった場合はチェックして損はありません。ただ口コミサイトは前提として“悪い情報ばかり”。あくまで参考程度という認識で見て、書いてある情報を鵜呑みにしないように心がけましょう。また就職四季報だと、具体的な数値が記載されていますが業種によって残業や待遇は変わってくるので、こちらもあくまで分析するための参考要素程度に考えてください。

 

まとめ

 

 

いかがでしたか? いくら人材不足による売り手市場が続いている状況とはいえ、たった数ヶ月で退職し、ファーストキャリアに傷をつけてしまう人が多くいるのが現状です。就活時に聞いていた話と待遇が違ったり、社員と性格が合わなかったりと人によって辞める理由は様々ですが、自身の企業研究が不十分で理想的な働き方が出来なかったというのが根底にあります。本当に自分が望む働き方が実現可能か? ちゃんと努力や結果を正当に評価してくれるかは実際に働いてみないと分からないものですが、それでもミスマッチを限りなくゼロにするために、企業訪問や口コミサイトといったツールの活用など使えるものはドンドン使っていきましょう。