新卒の社会人としてデビューしても、入社してすぐに先輩たちと同じ業務に取りかかれるというわけではありません。会社で働くうえで必要不可欠となる仕事の基礎知識を新卒は社内研修にて学び、会社の看板を背負って働くという姿勢と心構えを身につけます。
しかし具体的に社内研修とはどんなものなのでしょう? 今回はその点に注目してみました。

 

 

社内研修制度(社内・社外)について

 

どんな企業であれ、入社した新卒に長く働いてもらうために、しっかりした社内研修を設けています。
新卒就活生のなかには、「仕事のことをよく分からないけど、入社して本当に活躍できるのか?」という疑問を抱える人も珍しくありません。
しかし、新卒採用を行う企業も「学生として優秀なら新卒としても即戦力級の働きを期待できるはず」と考えているわけではなく、入社を迎えれば時間と人員を割いて十分な社内研修を挟み、1から丁寧に業務を教えてくれますよ。

 

新卒を対象にする社内研修も「社内で行うもの」だけでなく「社外で行うもの」とありますが、基本的なマナーや業務遂行能力を高めるためなど、どちらも内容にそこまで大きな差はありません。
とはいっても、新卒はまだ就業経験がないので仕事へのやりがい、自身のキャリアの展望を見出しづらいもの。なので、社内研修にはモチベーションアップを促すカリキュラムも含まれます。
社内研修と社外研修の違いですが、簡単に言うと、社内研修は「企業の上層部が講師として動き、部下へ教育を施すもの」。社外研修は「外部の組織やフリーランスなどに講師役を依頼し、新卒の能力向上・意識改革をさせるもの」となるでしょう。

新卒の社内研修には専門的な内容も含まれる

 

いくら入社したての新卒に、社内研修を通じて基礎となるビジネスマナーの教育から企業の理念や事業目的の共有、社員が共通して抱く価値観や将来的なビジョンを解説したからといって、業務に関する知識や技術に理解がなければ安心して仕事を任せることができません。
そのため、一般職や総合職などに関係なく新卒は基本的なビジネススキルを社内研修で学ぶだけでなく、営業や企画開発、製造に総務といった職種別研修も欠かさず行われるでしょう。

 

通常の社内研修では社会人にとって当たり前となる共通のスキルを学び、その後は職種によって異なる専門的なスキルと知識を獲得できるのです。
企業の中には1週間~1ヶ月程度の期間を置いて、合宿形式で研修を行う場合もありますが、ベテランを介して専門分野のノウハウを学べるのは、働くことに不安を覚える新卒にとってもネガティブな気持ちを解消するきっかけになることでしょう。
「社内研修」と聞くと、お堅く難しいイメージがありますが、何もかもが初めての経験となる新卒でも、企業と業務への理解を深めて働く意欲を高められるので、面倒に感じても将来的なリターンは大きいと言えます。

社内研修で新卒はどんなことを経験するのか?

 

企業によって社内研修のカリキュラムは変わっていきますが、大きく分類すると、「Off-JT」「OJT」になるでしょう。
まず、Off-JTでは配属前の新卒を対象にビジネスにまつわる基礎的な知識を学習させます。
何も知らないまま仕事を通じて学ぶとなると、企業の業種や職種、時期的な忙しさも相まって十分に教育指導を行えない場合もあり、社内研修では最初にOff-JTを組み、実務から離れてグループワークや座学で携わる業務の土台を固めさせるのです。

 

その後は、OJTで担当者になる先輩社員が実際の業務を通じて新卒を指導。業務がどんな流れで進められるのか? 対人関係においてどんなアプローチが欠かせなくなるのか? といった情報を、Off-JTでインプットしたことを応用して体系的に学習させます。
これによって新卒もビジネスのノウハウだけでなく、働くことへの責任感や多方面との繋がりを理解することができるので、社内研修でこの2つはまず欠かすことができないでしょう。

 

それだけでなく、上記の社内研修を終えて実際に正規に配属された後は、社内研修の内容の振り返りによって定着率を上げ、個々の悩みを聞き出して解消させる「フォローアップ研修」も含まれます。

社内研修制度に潜むメリットデメリットとは

 

自社で行うものと外部機関に委託して研修するもの。学ぶという目的は同じですが内容に違いがあるのはこれで分かったかと思います。一見、どちらも充実した制度のように感じますがメリットだけでなく若干のデメリットも含まれています。以下ではそれぞれの研修形態の良い点と悪い点を交互に挙げていきます。

 

【社内研修の良い点・悪い点】

社内研修では自由に研修を行えるうえに、そこまで大きな費用がかからないというのがポイント。優秀な人材がいればその人主導で新卒向けの社内研修を行い、新卒の能力向上を容易に促すことが期待できるでしょう。スキル強化だけでなく社内研修に参加する新卒同士で話し合い、仕事への姿勢や考え方を見直し、意識改革に繋げやすいというのも特徴的です。
また外部から依頼するよりも、社内で講師を用意するほうが研修内容の打ち合わせやカリキュラムへの理解が早いというメリットもあります。

 

ただ、社内研修の内容を検討して実施する企業上層部と、受講する新卒の理想が一致しづらいという側面もあります。参加する新卒が興味を持ってくれるような研修内容を上層部が企画できていないと、逆にモチベーションが下がってしまうでしょう。
自分が所属している部署とは畑違いの人間が考案し講師として動く場合、新卒も「自分にはあまり関係のないもの」と考えてしまい、内容が定着しなかったというのも珍しくありません。そして、社内で講師役を用意するとなると、スケジュール調整から研修の効果検証など、作業負担増大や講師側の指導力の心配といった問題点も含まれます。

 

【社外研修の良い点・悪い点】

社内研修とは違い、社外研修では外部講師のセミナーとなるため、社内での取り組みとは異なる価値観や今までにない発想を聞くことが出来るので、新卒にとっては刺激的です。新卒だけでなく中堅社員や管理職など、さまざまな役職にとっても今後のスキルアップに活かせるカリキュラムが用意されているので、内容に興味を引きやすいのも特徴的。
各方面で活躍するプロフェッショナルが講師となり、指導面の心配も少ないでしょう。
新卒への研修を行う企業側も、社内研修のときのようにカリキュラムの考案や社内から人員確保という手間を省けるので、負担に感じにくいのもポイント。

 

ただ、外部の人間に委託するわけですので、講師によって人柄や能力は違ってきます。
つまり、研修で得られる効果が講師のレベルで変動しやすいわけです。コストの面で言っても、講師の用意やプログラム選定でも費用がかかってしまう点もデメリットに挙げられます。
ですが、多少の費用がかかっても本来しなければいけない手間が削れるうえに、プロの講師を雇うことで受講する新卒~中堅社員の能力向上が見込めるなど、非常に有意義な研修になるでしょう。

内定者懇親会と内定者研修の違いって?

 

似た言葉ではありますが、どちらも内定を得た新卒向けのイベントとなります。実施する企業の一番の狙いは「新卒の内定辞退を避ける」こと。手間や時間をかけて多くの人材を確保できたとしても、内定辞退という形で他の企業に移ってしまうのはかなり痛いです。なので、どちらのイベントでも“縦(上司)と横(同期)の関係樹立”を目指しています。
内定者と交流を持ち、新卒の入社意識を留めているわけですね。内定者懇親会はその名の通り、先輩上司や新卒として入る予定の内定者の親睦を深める会。説明会や面接では見られなかった上司のオフの顔が見れるので企業理解を深めたり、一緒に働くことになる同期とコミュニケーションを取れる大事な機会です。

 

内定者研修は内定者へのビジネスマナーや業務の説明といった学習のイベント。新入社員研修と似たニュアンスを含んでいますが、こちらも懇親会のように興味づけで内定辞退を防いだり新卒同士に仲良くなってもらうといった意図もあります。内定者研修は全ての企業が実施しているわけではありません。これを実施するには会場・人件・資料作成など相応の手間と費用がかかります。内定者研修を行うということはそれだけ教育を重んじていて実施する分の余裕があるというわけなのです。

内定者研修の内容とは?

 

では内定者研修はどんなプログラムが組まれているのでしょうか? それは実施する企業によりけりですが、大まかな内容としては次の3つが挙げられます。

 

【ビジネスマナー】

業界によってマナー研修の内容は変わってきますが、社会人としての正しい挨拶の仕方や発声練習に名刺の渡し方、電話の取り方などが挙げられます。特に事務職や営業職は社内外で人とコミュニケーションを取る頻度が高いので、上記の研修は重要となります。

 

【自己啓発】

学生から社会人に変わるわけですので、仕事の働き方や将来の夢など内面の育成も、業務を任せるうえで肝心になってきます。内定者研修の段階でこうした意識改革に励んでも、入社の時点で忘れてしまう人も中にはいるので、内定者研修で学んだことは常に意識しておきましょう。

 

【スキルアップ】

こちらも業界によってさまざまではありますが、語学の勉強やエンジニア業務などで必要となる資格の修得など、文字通りスキルアップに繋げるための研修です。内定者研修の内に参加するかしないかで入社後の周りとの実力差に影響するので、積極的に参加しましょう。

キャリアのある中途採用者も研修をするの?

 

中途採用と聞くと、誰もが「即戦力」をイメージしがちですが、中途の募集をかける企業も、中途にはそれ相応の能力を求めています。社内研修をする場合は、手間も時間もかかってしまいますので、余計なコストを削減する意味でも、研修要らずですぐに力になってくれる優秀な中途社員を企業は探しているのです。こうした事情から新卒研修には力を注いでも、中途の研修に関しては教育制度が整っていない企業も多く存在します。
ですが中途社員も人間なので、ビジネスマナーや保有スキルが充実していても、人間関係や職場環境の変化に慣れるには時間がかかります。せっかく雇ってくれたのに研修がなく、前職とは違う仕事の進め方や風土に戸惑って辟易し、再度転職してしまうという人も少なくありません。なので、もし中途採用に臨む機会がありましたら、中途の社内研修制度がしっかりしている企業かどうかという点も忘れずチェックしましょう。

 

まとめ

いかがでしたか? 社内研修がしっかりしている企業では、たっぷり時間を置いて新卒に教育を施してくれますが、すべての企業が充実した制度を設けているわけではありません。
また、研修の内容によって得られる知識や経験の幅も大きく異なっていきますが、今回の解説を読み、新卒のみなさんは前向きな気持ちで成長の機会に臨みましょう。