近年、就活生の内定獲得率は軒並み上昇傾向にあり、昨年の春に卒業した18卒の大学生の就職率も約98%を記録したほどです。この流れは2016年から続いており、就活生が優位に物事を進められる「売り手市場」と呼ばれるようになりました。一昔前の「就職氷河期」の様相とかけ離れている好調な流れではありますが、就活は景気の動向や社会情勢でも偏りやすいのが特徴的。「年々就職率が上がっているし、この先も大丈夫だろう」と安易に構えていると、思わぬところでしっぺ返しを食らう可能性もあるわけです。

また、来年には約半世紀ぶりとなる東京オリンピックの開催も控えており、今後の景気の変動そして就活の在り方はどう変わっていくのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

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景気が悪くなると就活にどう影響するか

 


 

 

突然ですが、就活と“株価”は密接に関係している事をご存じでしょうか? そもそも株価とは企業の株式の相場を示すものであり、これはその企業の業績によって変動していきます。株価が増減していくのは要するに需要と供給のバランスが関わってきており、新サービス(製品)の台頭や吸収合併などで企業の注目度や業績が上がると、株式を買い恩恵を得たいと考える人も相対的に増えていき、逆に不祥事や業績の悪化によってブランド力が低下すると、同時に株を手放す人も並行して増えていくわけです。

 

これは「株式投資」と呼ばれるシステムですが、投資家やビジネスマン以外でも近年では主婦も始めている傾向にあり、一般の人でも株式に対する先見の明があれば収入源を拡大させるメリットが含まれます。

業績が傾いている場所の株をいつまでも持っていても損しか生まれませんので、市場の株価が低下していけば、株を売ってお金に換える事になります。大暴落する結果に陥ったら最悪の場合、個人でも数百~数千万規模の負債を抱える可能性も無きにしも非ず…。そこが株の取引きの恐ろしい点ですね。

 

 

 

 

急に株価にまつわる話をしてしまい、読んでいて戸惑っている学生も中にはいるかもしれませんが、最初にもお伝えしたように株と就活は連動した動きをするのです。そして大事な事ですが“株価は国民全体の資産に関わるもの”であり、株価の変動は国民のお財布事情にも影を落とす結果に繋がります。就活生の間では注目の的である“大手の有名企業”。これらにも当然株式の概念はあり、業績右肩上がりな業界・企業でも株価が下がる事で国民の購買意欲が低下すれば、企業そのものの売り上げにも直結します。

 

それは何を意味するかというと、現役で勤めている社員達の収入も削減されるようになります。もちろん彼らも他の人達のように消費に対して憶病になる事でしょう。

そうなるとまた別の界隈での売り上げが…という感じでまさに悪循環が引き起こされていくわけですが、業績が落ち続けて人件費というコストを大幅に抑えようと考える企業が、最悪どんな手段に出るかといえば“リストラ”です。もう遠い昔のように感じますが、かつてのリーマンショックでは数多の大手企業でも多大な痛手を負い、大規模なリストラに踏み切った前例もありますね。

ですが一般的にリストラは最終手段であり、日本の法律ではリストラに踏み切る事が難しいのです。

そうなる場合どこにコスト削減の目を向けるかですが、ここで“新卒の採用活動”が関係していきます。

 

不景気が採用活動を滞らせる結果に

 

企業が優秀な学生を確保するのに躍起になる毎年の採用活動ですが、もちろんこれらは大きな手間と費用を掛けて実現するものです。

就活イベントの開催や会場の用意、人事担当者から役員までのスケジュール管理など、たった数ヶ月の採用活動だろうと広報や調整で数十~数百万という大金(場合によっては数千万単位)が動きます。基盤がしっかりしている大手や上場企業だと学生からの人気度も相俟って大きなリスクにならない(内定承諾のリターンが見込みやすい)と思いますが、これが中小や生まれたてのベンチャー企業だと話は違ってきます。

 

 

 

 

株価が下がり売り上げも低迷、しかし社員の待遇を悪くしてしまうと最悪は離職者の増加や仕事へのモチベーション低下も危惧されます。それを避ける意味でも新卒採用の枠を狭めたり採用活動自体にストップをかけたりするわけです。

これが如実に現れたのが先ほども軽く触れたリーマンショック後や、自民党から民主党への政権交代後でした。説明が長くなってしまい申し訳ないですが、不景気(株価の変動)が就活にどのように影響を及ぼすかがこれで理解出来たかと思います。

 

なぜリーマンショックで就活が厳しくなったのか

 

2009年卒以降の就活が非常に厳しくなったきっかけは、米証券4位のリーマン・ブラザーズが08年9月に米連邦破産法を申請。金融機関同士がお互いを信用できなくなり、金融市場は麻痺しました。

就活生の努力とは関係のないところで、アメリカのメガバンクとも言えるリーマンブラザースが破綻したことにより、日本の就活生が苦労をしました。ではどういう“苦労”があったのか? そこも振り返ってみましょう。

 

 

 

 

当時のリーマンショックは“百年に一度の大不況”とも囁かれ、アメリカのみならず日本を含む各国に甚大なダメージを与えました。当時の日本に目を向けてみますと急激な円高の煽りを受け、金融機関だけでなく建築や自動車など数多くの産業の株価が暴落し、膨大な金額の赤字を被ったのです。

それは企業の倒産や数千~数万人の社会人の“首切り”を発生させ、正社員のみならず派遣社員の失業も招きました。若い人でも「派遣村」という言葉を聞いた事があるのではないでしょうか? あれはまさしくリーマンショック後の大不況が生んだ産物ですね。

 

凄まじいほどの赤字を引き起こし、各地での建設プランやサービスも停滞。

それだけでなく、就活生もまた景気後退によって“従来の就活通り”では安定した雇用獲得がままならず、卒業から数年経過してもハローワークに通い詰める姿も数多く目撃されました。リーマンショックが起きる前の2007年辺りは団塊世代の引退によって若者の採用枠が広がると期待されていましたが、この“災厄規模のイレギュラー”によって一気に暗礁に乗り上げてしまったわけです。

 

 

 

 

売り手市場時代に生きる現役就活生からしたらイメージしにくいかと思いますが、当時は一人の応募企業が100~200社というのもザラであり、どんなに選考対策を行い数を追っていっても、なかなか実を結ばないという非常にシビアな就活風景でした。

 

株価が下がっても、いきなり内定率は悪化しない

 

採用活動の取り組み方やスケジュールは各企業によって異なりますが、大抵の企業でも人事部がまとめる採用計画人数は前年度の段階で既に決定しています。株価が多少下がり始めた時点では、ガクッと内定率が落ちる事はないのです。

株価がいつ暴落するか、元通りになるかは誰にも分からない問題。

多少の株価が下がったくらいで、一々採用を取り消そうものなら充実した新卒採用はいつまで経っても実現出来ず、次第に会社の“活力”も衰えていきます。

そのため、株価が新卒採用に影響が出始めるのは、株価が暴落した翌年からです。

2008年(2009年卒)に起きたリーマンショック後、内定率最悪の年である2012年(2013年卒)までは4年もありました。

上がらない株価に対して企業が採用活動を控えますが、株価が暴落したからといって、今年・来年の内定率が劇的に悪化するわけではない事を覚えておきましょう。

 

東京オリンピックは就活生にとって向かい風?

 


 

 

2020年に開催される東京オリンピック。開催が決定してからは、東京だけでなく全国津々浦々で五輪のプロモーション活動や選手育成に注力し、年々この“半世紀ぶりの祭典”に期待値が高まっているわけですが、国内の景気事情だけでなく就活生にもオリンピックは影響を及ぼす可能性があります。

 

1964年(昭和39年)開催の東京オリンピック前後のGDPについて振り返ってみましょう。当時はオリンピックの開催に向けて各所でインフラ整備や建設ラッシュが盛んとなり、都内・地方からの雇用創出も生まれ、オリンピックへの投資が多大な経済成長を促しました。それはGDP平均推移でも顕著に現れており、昭和39年開催の前年(過去5年間)でもGDPの指数が平均値に比べて上昇しているデータも残されています。

ただ開催の熱が冷めていった後が問題で、過去の東京オリンピックでは閉幕後、経済刺激が薄れた事で企業の引き締め対策が失敗。株価も下落した事で起因した「昭和40年不況」が多くの企業の倒産を引き起こし、GDP増加率も10%越えから1965年時点で5.7%にまで下がる結果に繋がりました。

そして2020年のオリンピック後も、少子高齢化の波やインバウンド数(訪日外国人観光客)の低下によって過去ほどとはいかないにしても、閉幕後はGDPが伸び悩むのではないかという指摘もされています。

 

 

 

 

 

…という感じに経済に対するオリンピックの影響について話しましたが、就活生にはどんな形で関わってくるのでしょうか?

まず最初に考えられるのが交通状況の悪化です。言うまでも無くオリンピックでは国内外多くの人が東京という一つの都市に集中する事になるわけですが、公共交通機関が通常時より過密気味になると予測され、就活生の移動もままなりません。最悪の場合は交通機関が麻痺してしまい、面接会場にもたどり着けないケースも考えられるでしょう。

そしてオリンピックによって人が更に増加するという事は、就活イベントで使用していた大規模な会場も押さえておく事が出来ない可能性も浮かびます。つまり今まで行ってきた説明会やセミナーなどが行えない(実施数の減少)可能性も大いにあり得るのです。

 

就活ルールも廃止…。就活生はどう動くべき?

 

 

 

 

昨年の秋、経団連は2021年春入社以降の新卒者を対象とする就職、採用活動のルールを制定しない事を発表しました。

今回の就活ルール廃止には様々な意見が飛び交いましたが、現行スケジュールを踏まえていけば就活生側は特に神経質になる必要はありません。

ただ21卒の就活ではタイミング悪くオリンピックが挟み込まれ、それによって企業の採用活動に関するスケジューリングが例年とは違ってくる可能性もあります。大手企業目当ての早期内定を視野に入れるならば、2020年春先から焦らないように、前年度時点で入念に自己分析や企業研究などといった準備をしていきましょう。

それだけでなく、大手一本に絞って失敗した時のリカバリーに困るのも就活生の常です。オリンピックが始まって本格的に身動きが取りづらくなる前に、興味のある中小やベンチャー企業の選考も受けておき「夏季に入っても持ち駒が無い…」という状態に陥らないようにしましょうね。

 

まとめ

 

 

 

 

今回の記事では“景気の変動が就活でも影響を及ぼす”事をご紹介していきましたが、過去に起きたリーマンショック後の就職難やオリンピック後の不況が今後また起きる可能性は無きにしも非ずです。

ですが“いざという時”に就活生はどう対処すべきかというと、経済や就活市場の動きに敏感になり、尚且つスキルアップによって自身の市場価値を高めていく事が考えられます。

たとえ今が就活生にとって追い風となる売り手市場でも、オリンピック後はどうなっているかなんて分かりません。過去に起きた昭和40年不況の再来によって、就活の選択肢がかなり狭まる可能性だってあるわけです。そんな時でも“企業から必要とされる人材”として重宝されるために、今の内から“訪れるかもしれない不況”に備えた自己研鑽をしていきましょう。